成功者の罪

だれもが理解できる常識を述べると、
どの分野でもひとりの成功者の陰には百人、千人の失敗者がいるのである。
敗者のなかには自殺するものもいるだろう。
過剰飲酒で間接的な自殺を遂げるものも山ほどいるはずである。精神を病むものもいよう。
これはどういうことか。
ひとりの成功者は大勢の犠牲者のおかげで恵まれているということだ。
みんなが社長になれるわけではない。どの店も商売繁盛というわけにはいかないのである。
だとしたら、成功(勝利)したいものは、だれかを不幸にしたいと言ってもよい。
自分の成功(勝利)のためなら、
自分のせいでいかなる犠牲が生まれても構わないと心底から思えるようでなければならない。
自己啓発本を読むとはそういうことだ。抜け駆けをしたいとはそういうことだ。
勝ちたいとはそういうことだ。人間はそういうものだ。かなしいことにそういうものだ。
成功を望むものは、食うか食われるかなら、食ってやろうと覚悟を決めたものである。
いちばん心安らかでいられるのは、たまたま思いがけなく成功することなのだろう。
むろん、成功などしないほうが当人の安心にとってはなによりもいいのかもしれない。
自力ではなく他力で偶然にも恵まれたらこんな幸いはないのではないか。
とはいえ、人間はどうしようもなく努力してしまう。他人を不幸にする努力をだ。
まったく罪なものであるが、いまもむかしも人はいつもそういうものなのだろう。

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