わからない人

A「何度言ったらわかるんですか! わたしはあなたに興味がないんです」
B「それはおかしい。おまえは間違っている」
A「もう議論はやめましょう」
B「それはいかん。なぜなら、おれはおまえに興味があるからだ」
A「わたしはあなたにいっさい興味がありません」
B「だから、それは間違っている」
A「あなたに興味がない人もいるんです」
B「それは間違っている。おまえはもっと他人に興味を持ったほうがいい」
A「あなた以外の人には興味があります」
B「待て、待て」
A「いやです。手を放してください」
B「おまえに興味がある」
A「言っていいんですか?」
B「おれは間違っていないぞ。きみ大学はどこだ? 高卒か?」
A「関係ないでしょ。本当に言いますよ」
B「ああ、かまわん。おれは正しい。おれは間違っていない」
A「わたしはあなたが嫌いなんです」
B「それは間違っている」
A「大嫌いなんです」
B「それはいい。しかし、おまえの態度は間違っている。おれの意見を聞け」
A「どうしてわからないんですか? あなたが嫌いなんです」
B「そんなことあるわけないだろう。おまえは間違っている」
A「なぜ自分が嫌われていることがわからないんですか?」
B「話し合おう。どちらが正しいか白黒つけようじゃないか」
A「あなたが嫌いなんです」
B「待て、待て。いいか。逃げるなよ。逃げたら、地の果てまで追っていくからな」
A「警察に言いますよ」
B「ああ、裁判しようじゃないか。おれは間違っていない」
A「あたま大丈夫ですか?」
B「だから、どちらが正しいか決着をつけよう」
A「そういう問題じゃないんです」
B「それは違う。おれはおまえに興味がある。だから、おまえもおれに興味を持つべきだ」
A「いやです」
B「おまえ、おれをだれだかわかっているのか」
A「知りません」
B「なら、知ればいいだろう。知識欲がないやつはダメだ」
A「ダメでいいです」
B「それは違う。おまえはなぜ人の意見を聞かない。もっと謙虚になれよ」
A「あなたこそ謙虚になれ」
B「おまえ、おれを舐めるなよ」
A「舐めていません」
B「いや、舐めている。ほら、おまえは間違っているじゃないか」
A「もう話しかけてこないでください」
B「逃げるな。おい、待て。こらっ、卑怯者!」
A「(逃げる)」
B「おい、待たんか。おまえは卑怯者だぞ。卑怯者、待て。へん、逃げやがった。
おれの勝ちだな。よし、勝った。大勝利だ。常勝伝説、不敗伝説、本日更新なり。
しかし、不愉快なやつであった。おれのような正直者は受難者になる宿命があるのだろう」

*世の中には残酷な「興味の不公平」「関心の不平等」が存在します。
講演会の質疑応答で質問者が延々と身の上話を始めると彼がかわいそうで胸が痛みます。
男が高齢者ならなおさら人生の理不尽をまざまざとあからさまに見せつけられたような、
暗澹(あんたん)たる気分になります。これは女よりも男のほうが多い。
なにが壇上の有名人と客席のみじめな質問者にこうまでの差をつけたのでしょうか。
なかには「あなたの意見に興味を持たない人がいる」ことを理解できない人がいるようです。
彼は世界に片想いが存在しないとでも思っているのでしょうか。
くだらないだれからも読まれないブログを書いています。
コメント欄で匿名の人から連続してご意見をいただくことがあります。
どうして「わからない人」がいるのでしょうか。
きっとわからないほうが幸福だからだと思います。わからないほうがいいこともある。

(注)この記事に特定のモデルは存在しません。本当ですって。だから、本当。本当に本当。

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