書いてみてわかるということがあります。
以前ポジティブとネガティブの相違を書き出して思ったのは、
自分はつくづくどうしようもなくネガティブな人間だということです。
自分でもいやになるほどくよくよ悩むことがひんぱんにあります。
むかしの失敗を忘れられません。
3、4年まえのしくじりをいまさらワーっと大声を出しそうな勢いで思い出します。
バカバカとあたまをかきむしりたくなります。
ひとりのときならいいですけれど、だれかいたら狂人と思われても仕方ありません。
異常なほど自己嫌悪が強いんです。
文面をご覧いただけたらおわかりになろうかと思いますが、
基本的に偉そうで自己愛が強いにもかかわらず、
どうしてか自己嫌悪のほうも強烈なんです。
謙虚ぶって自己嫌悪が強いなどとうそぶいているわけではありません。
自分が偉そうでプライドも高く自己愛が強いことはわかっています。
それなのにどうして自己嫌悪までこうも強いのかがわからないのです。
自己愛が強いのはポジティブな人もおなじでしょう。
しかし、ポジティブな人は自己嫌悪をあまり感じないはずです。
自己嫌悪が少ないから前向きで明るくいられるのだと思います。
こちらは自己愛があまりに強すぎるから過度の自己嫌悪に行ってしまうのでしょうか。
とにかくネガティブな人間であります。
一方でいまの日本社会はポジティブ一色のような気がします。
常に明るくて前向きな人材のみが是とされる圧力めいたものがあるのではないでしょうか。
ポジティブたれという脅迫のようなものがあります。
就職面接でネガティブなことをわずかでも口走ったら一発で落ちますよね。
実名のツイッターやフェイスブックでネガティブなことを書く人はきっと少ないでしょう。
仕事に関連する実名ブログ(たとえば社長ブログ)
でも気味が悪いほどポジティブ発言ばかりです。
自分は前向きで明るく「できる」人間なのだというアピールがやたら目につきます。
匿名ブログになると一気に愚痴不満悪口が増えるのはポジティブ社会の影でしょうね。
ポジティブ社会の象徴は、作家の乙武くんではないでしょうか。
乙武洋匡とは同年齢で大学の同期でもあるので乙武くんと親しみを込めて呼びます。
(もちろん、あんな偉い先生とはまったく面識がありませんけれど)
「五体不満足」の乙武くんでもポジティブなのだから、ネガティブは人間のクズ。
そういった社会風潮がすっかりできあがっているような気がします。
こういうポジティブ圧力が強い社会において、
ネガティブなものがうまく世間を渡っていくのはかなり難しいのではないでしょうか。
そのように考えるのがネガティブなんだとお叱りを受けてしまうでしょうけれど。
ポジティブ社会が悪いと言いたいわけではありません。
自分もどちらが好きかと問われたらポジティブな人と答えますから。
ネガティブな人といっしょにいるとこちらまでいやな気分になりますよね。
このため、ネガティブな自分から人が離れていく気持もよくわかるんです。
自分もネガティブな人が苦手だから、
人から疎(うと)まれる理由が自分でわかってしまいます。
ネガティブな人は概して嫌われますので、
人に好意を持つのは相手の迷惑になるのではないかと逡巡してしまいます。
要するに自分に自信がない。努力しても道が切り開けるとは思えない。
常にくよくよ悩んでいる。
そのくせ自分勝手でポジティブな人からの忠告や助言を聞き入れないのですから。
「前向きになれ、ポジティブになれ」という極めて正しい、
そのうえ親身なアドバイスに対して「もういい年齢だし無理ですよ」
とネガティブに応じてしまいます。
「どうせネガティブだからポジティブになれない」というのはまさに自縄自縛であります。
言い換えたらネガティブの無間地獄。
ポジティブにバリバリ交友や仕事に励んでいる人に「どうせ死んでしまうんだよ」
なんて空気の読めないことを言ってさらに嫌われることになります。
ポジティブな人から嫌われることでネガティブな人はよりいっそうネガティブになる。
もう怖いものなしのネガティブになった彼は、
明るく前向きに努力している人に「どうせ努力は報われないよ」と声をかけてしまう。
ポジティブな人は耳をふさぐでしょう。聞きたくない。
ネガティブ野郎はネガティブゆえに意地悪な笑みを浮かべ追い打ちをかけます。
「現実から逃げるな。人生は不条理、理不尽、不公平に尽きるだろう!」
あまりのしつこさに怒ったポジティブな善人はネガティブ野郎に言い放ちます。
「おまえは人間のクズだ。もう近くに寄って来るな!」
ネガティブな人はこの言葉に深く傷つき、何度も何度も言葉を反芻(はんすう)して、
傷にかさぶたができたらはがすを延々と繰り返し、
血を見ては怨恨や自己嫌悪を募らせてさらにネガティブに突き進みます。
いやあ、我ながらネガティブな人って救いがなくて笑えますね、あはっ。
実のところ、この自嘲の笑いこそ
ネガティブ重症患者の救いではないかという気が最近しています。救いはあります。
「本の山」のような陰々滅々としたブログをお読みの方は、
きっとネガティブな方が多いのではないかと思います。
ネガティブな人はポジティブになろうとするのもいいですが(むしろベストですが)、
ネガティブを極めるという別の道ももしかしたらないわけではないのかもしれません。
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