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「ノッティングヒルの恋人」

「ノッティングヒルの恋人」(リチャード・カーティス/照井しずか・荒川良訳/愛育社)

→映画シナリオ。映画というのは大衆の夢を描くものだというのはわかるけれど、
これほどまあ、あからさまにやられてしまうとけなすこともできないじゃないか。
冒頭に脚本家の序文があるが、実に通俗的な男だよね。
いつか有名美人映画女優と会食したいという夢から始まったと書いている。
この映画のストーリーは、しがない書店主人とハリウッド映画スターが恋をする。
会食のみならず「寝る(sleep with)」わけである。
男の願望そのままと言ってよいが、
自分にはどこかだれにも負けない魅力があると錯覚しているのが女らしいから、
女の観客も美人女優に自身を同化させて無名人とのラブストーリーに酔うのであろう。
これはもう視覚によるところが圧倒的に大きいため、
字面でこの映画のよさはあまりわからないのだろう。
とはいえ、セリフもなかなかのものなのである。
どうやら西洋では店員は日本のようにマニュアル通りには話さないみたいだ。
ホテルの職員が、変な電話にとんちを利かせた返答をするところなどとてもいい。
日本のシナリオでやったら不自然になってしまうのだろうが。
余裕を持った西洋人のユーモアは(シナリオでも実生活でも)我われ日本人は真似できない。
女優の下半身の噂話でゲスな男どもが盛り上がっているところに、
当の美人女優が登場して啖呵(たんか)を切るシーンも実にいい。

"I'm sure your dicks are all the size of peanuts."(P106)

「あなたの息子がピーナッツくらいのサイズだってこともわかっているわ」(P107)


もちろんハッピーエンドなのだが、そのまえに人生はうまくいかないということを
象徴させるように、仲間のレストランが閉店したり、
仲間が失職したりする現実を描いているのもよくできている。
このときレストラン経営に失敗したトニーにかける仲間の言葉がいい。
我われ日本人なら励ますところだろうが、向こうではそうではないのである。
実際に見てみよう。このセリフがいちばんよかった。
女性は失敗したトニーに声をかける。

"I just want to say to Tony ――― don't take it personally.
The more I think about things, the more I see no rhyme or reason in life
――― no one knows why some things work out, and some things don't
――― why some of us get lucky ――― and some of us..."(P164)

「私はトニーに言いたいわ――気を悪くしないでね。
物事について考えれば考えるほど、人生は不合理だということが分かるわ――
うまくいくこともあれば、いかないこともあるけど、その理由は誰も分からない
――私たちの誰かが幸運に恵まれ、また誰かは……」(P165)


失敗した人に「もっとがんばれ!」とか励まさない文化っていいよな。
さて、ラストはまえにも書いたが、
平凡な書店主人とハリウッド美人女優が結ばれるわけである。
普遍的な男の夢を描いていると言うことができよう。
最後にどうでもいいわたしの話をすると、この夢にうまく乗っかれなかった。
正直、いまの日本の女優さんでそういう夢をいだける人がいないような気がして。
そりゃあ、みんな信じられないくらい美人ばかりだけど。
美人すぎるんだよな。変なことを言うと、
重い宿業を背負ったような薄幸っぽい女優が好きなのかもしれない(苦笑)。
くだらないボクばなし失礼しました!

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