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「美酒礼賛」

「美酒礼賛」(山口瞳/グルメ文庫/角川春樹事務所)

→いつだったか石原慎太郎と兄事する西村賢太の対談をユーチューブで見ていたら、
元都知事がいまさらながら山口瞳(男性作家)のことをぼろくそに言っているのである。
テレビを見ているものの大半はもう山口瞳など知らぬだろうに。
逆宣伝になってしまうかもしれないのに、どうしようもなく恨みを晴らす。
死人に口なしだから、石原慎太郎はめちゃくちゃ言っていた。
業界の先輩である山口瞳が自分に謝りに来たというのである。
それもひとりで来るのを怖がっておともをつけていたと、さんざんコケにしている。
わたしはむろん山口瞳派だが、しかし石原慎太郎の恨みもわからないでもない。
きっと山口瞳から一生忘れられないことをされたのだろう。
そういうことをやらかすのがむかしの文士であった。
怨念の果し合いを執念深く師弟にわたって繰り返す。
果たして西村賢太兄貴はどのくらいそういうことをできるか。
あの石原慎太郎が認めたわけだから、まあ好き勝手にやってほしいと思う。
山口瞳は、本書で色川武大(阿佐田哲也)を「コワイ作家」だと評している。
いわく――。

「僕は小説家の条件として、次の三点を考えている。
第一に悪人。第二に奇病の持ち主。第三に容貌魁偉(ようぼうかいい)。
しかるがゆえに色川武大は尊敬すべき小説家なのである」(P202)


もちろん、この三つの条件に山口瞳自身も十分に当てはまる。
おそらく石原慎太郎も当てはまったから山口瞳が多少かわいがったのだろう。
石原慎太郎が西村賢太兄貴をこちらは言葉の意味通りかわいがるのも、
まずこのためと見て間違いあるまい。
悪人であること。奇病の持ち主。容貌魁偉。
こういうものがあちこちの世界で多数出没して世の常識派など蹴散らしてほしいものだ。
石原慎太郎がいまになって山口瞳をおとしめるのは、
むろん嫌いで恨みがあったからなのだろうが、絶対にそれだけではないはずである。

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