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「母子寮前」

「母子寮前」(小谷野敦/文藝春秋)

→こんな小説を芥川賞候補に入れられる著者の黒い権力に思いをはせると、
本当の感想は書かないほうがいいのかもしれない。いや、書かないでおこう。
なにをされるかわからないのだから。
しかし少しだけ書くと、自分にとっての一大事を、
みんなもそう思ってくれると無邪気に信じるような幼児性は
著者とわたしの共通するところかもしれない。
自分勝手で自己正当化ばかりしているところも、
あんがい似通っているのだろう。
唯一異なるのは著者はわたしとは違って成功しているところだ。
ベストセラー出版のみならず、なんだかんだと友人も多いらしいし、
編集者にも気を遣ってもらっているようだ。
それに若い美人を嫁さんにしてしまうのだから、
著者の運のよさはいったいなんに由来するんだろう。
著者の自己中心的なところがまるで自分を見るようでムカムカしながら読了したのだが、
(たとえばむかしの女との情事は詳細に記すが、新妻との秘め事は書かない)
つくづくこの世には善因善果や悪因悪果など存在しないのだと思い知った。
本書を読んで不愉快のあまり自殺まで考えたが(あいつばかりいい思いをしやがって!)、
いま思い直したらあんな人にも幸運が舞い込むのだから、
こちらも生きていたらなにが起こるのかわからないのだろう。
次は著者自身のガン闘病記をぜひ読みたいものだ。

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