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「ウソツキクラブ短信」

「ウソツキクラブ短信」(河合隼雄・大牟田雄三/講談社+α文庫)

→たぶんお仲間の遠藤周作の狐狸庵(こりあん)ものに影響を受けたのだろう。
遠藤は別人格の狐狸庵をつくりだし、親しみやすいエッセイを多産した。
あるいはユング心理学のペルソナ(仮面)や影という問題意識があったのか。
河合隼雄のつくった狐狸庵が、同一人物の大牟田雄三(おおむだゆうぞう)である。
本書の内容は、お仲間にだけわかる内輪受け狙いの小話とでもいおうか。
有名人がお仲間にだけ通じる符合を使って楽しんでいるようなものである。
はっきり言って、おもしろくもなんともなかった。
これは経歴から消したほうがいい河合隼雄先生の汚点でさえあると思う。
しかし、文庫本の解説だ。お仲間の大御所作家・柳田邦男先生によると――。

「……この本を読んでどこまで笑えるか、その“笑い度”如何(いかん)が、
読者の知的レベルを測る物差しになるかもしれないということだ」(P258)


まったく「お仲間病」の重症患者は困ったものである。
抱腹絶倒した(うそつけ!)自分は知的レベルが高いと誇っているのだから、この先生は。
わたしはこの本を読んでまるで笑えなかった。苦笑さえしなかった。
とはいえ、社会というのは、まあ、こういうものなのだろう。
あらゆるところで「仲間褒め」や「身内褒め」がはびこっている。
そのうえで「このおもしろさがわからないのはおまえがバカだからだ」と脅迫するのである。
よくよく考えてみたら柳田先生の偉さを裏打ちしているのは河合先生である。
ならば、どうして河合先生の愚書を柳田先生がけなす必要があるだろうか。
世の中は、そういうふうにできているのである。大人は、そんなものなのだよ。
救われたのは、河合先生の判断である。
おそらく自著の正確な価値に自身で気づいたのだろう。
河合先生が大牟田雄三名義で本を出すことは以後なかった。さすが河合先生である。

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