FC2ブログ

「外科室・海城発電」

「外科室・海城発電」(泉鏡花/岩波文庫)

→はっきり言って鏡花自体はつまらないけれど、小説に出てくる古い言葉がいい。
むかしの言葉はなまの差別感情が体臭のようにこもっているので美しい。
以下引用は憲兵さんが、中国軍の捕虜から帰ってきた軍医をあざけっているところ。
どうしてスパイのひとつもしてこんのか、軟弱者めが!
この軍医は中国軍の負傷兵をたくさん助けたので敵軍から褒賞までされている。
引用部分を読むと、むかしは混血児というのが差別された存在だったのがよくわかる。
いまでいえば「ハーフ」が悪口になるということ。

「へむ畜生、支那(チャン)の捕虜(とりこ)になるやうぢやあ
とても日本で色の出来ねえ奴だ。
唐人の阿魔(あま)なんぞに惚れられやあがつて、この合の子め、
手前(てめえ)、何だとか、彼(か)だとかいふけれどな、
南京に惚れられたもんだから、それで支那の介抱をしたり、
贔屓(ひいき)をしたりして、
内幕を知つててもいはねえんぢやあねえか。
おいらの口は浄玻璃(じょうはり)だぜ」(P183)


浄玻璃は地獄の閻魔さまくらいの意味か。くうう、使ってみてえずら。
「おいらの口は浄玻璃だぜ」――。
妻の浮気が発覚して、悔し涙に暮れながら、女房をこっぴどく折檻したあとで、
どすをきかせた声で「この阿魔が、おいらの口は浄玻璃だぜ」――カーッ!
そのためにはまず結婚だな、うん。

COMMENT









 

TRACKBACK http://yondance.blog25.fc2.com/tb.php/2863-6b80f531