「トレヴァー」

「トレヴァー」(ジョン・ボウエン/喜志哲雄訳/「現代世界演劇15 風俗劇」白水社)絶版

→イギリス産戯曲。
願っているのは、知的虚栄でも、芝居ビジネスにおける成功でもない。
ただただおもしろい戯曲を読みたい。そして感動したいのである。
つまり、生きているのもさほど悪くない、と思いたい。
なのに、なかなか名作戯曲には出逢えない。どうしてだろう。
どうして感動する作品にめったに巡りあえないのか――。

ルームシェアしている若い女性が二人。
そのうちの一人が昼日中のバーで見知らぬ青年をひっかけてくる。
部屋まで連れ込みお願いするのである。

「わたしたち、あなたに芝居をしてほしいの。
(「どんな脚本?」)
今日の午後だけのことよ。わたしの両親がお茶に来ることになってるの」(P125)


恋人のふりをしてほしいという臨時アルバイトの依頼である。
偶然が喜劇の糸をもつれさせる。
来る予定のなかった女性のほうの家族がいきなり来てしまったからである。
芝居は喜劇の典型といった進み方をする。
以下の引用は喜劇に共通する動作といえよう。

「ジェインが真青になって戻ってくる」(P128)

予定外のことが起こるから人間は慌てふためくのである。

「ねえ、最初に嘘ついたんだから、続けるよりしようがないのよ。
もしいまばれたら――」(P144)


嘘が嘘を作っていく! 
ひとつの嘘が次の嘘を作り、さらにその嘘が――といったように嘘がふくれあがり、
最後に爆発して本当のことがばれるのが喜劇なのだろう(ばれないこともあるけれど)。
舞台で見ていたらよかったのだろうが、
残念なことに紙の上では人物の動きを追いきれなかった。
すなわち、途中でわけがわからなくなった。
すれ違いや勘違いの連続といったト書きを文字だけで追うのは限界がある。
解説で知ったのだが、二人の女性はレズピアンの関係にあるのだという。
なるほど、だから即興で彼氏を仕立て上げる必要があったのか。
二人の同性愛関係をわたしは最後まで見破れなかった。色恋に疎いのだと思う。

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