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「ねずみとり」

「ねずみとり」(アガサ・クリスティー/鳴海四郎訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)

→イギリス産戯曲。世界最長ロングラン記録をいまなお更新中とのこと。
結婚1年の若夫婦がペンションをオープンさせたその日に6人の客が訪れる。
第一幕の終わりで殺人が行なわれ、第二幕からは犯人探しが始まる。
万民から愛される芝居になっていると思う。
この舞台を嫌う人はほとんどいないのではないか?
しかし、反面、何度もこの芝居を観たがるものもいないような気がする。
いや、演劇ファンというのはわからんぞ。
芝居好きは、犯人がわかっているミステリー小説を何度も読むようなおかしさがある。
彼(女)は、ひたすら人間が好きなのだろう。俳優が好きなのだ。

劇構造は極めてオーソドックス。教科書のような典型が随所に見られる。
芝居は、結局のところ人の出し入れがすべてである。
人はいない人の悪口を言う! なんのことはない、これが演劇の基本中の基本だ。
それから人は噂話が大好き! ペンションに集った人たちは噂話に花を咲かせる。
芝居が進むにつれて明らかになるのは、それぞれの秘密である。
商業演劇は、ありきたりな日常を舞台にかけたりはしない。
芝居は十中八九、特別な日に起こった特別な事件である。記念日設定が多い。
本作品では、若夫婦の結婚記念日という特別枠に芝居が収められている。
雪で交通を寸断されたペンションに刑事がやってくる。
お決まりのセリフを発するのがおもしろい。

「いいですか、いま私の目の前にいる六人、この中の一人が人殺しだ!

  沈黙。一同は動揺して、不安そうに互いに顔を見合わせる。

人殺しはこの中にいる! (暖炉に歩く)それがだれなのかはまだわからない。
同時に次の犠牲者もこの中にいるはずだ」(P162)


もっとも犯人らしくない人間が犯人なのは言うまでもない(笑)。

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