「海照らし」

「海照らし」(中島丈博/「ドラマ」1990年6月号)品切れ

→テレビドラマシナリオ。平成元年放送。NHK。全4回。
ちょっと頭で作りすぎたという感もないが、実に美しいドラマである。
対馬の小島を舞台にしているので、映像で見たらさぞかしきれいなことだろう。
中島丈博の好きな「おまんこシーン」も随所に見られ、
脚本家が楽しみながらこのシナリオを書いたのがよくわかる。
田舎出身というのは、一見マイナスだがシナリオを書くうえでまたとない武器になる。
このドラマは間違いなく中島丈博にしか書けないものである。
山田太一や向田邦子には決して書けない。
脚本家は高卒だが、これも表現をするうえでプラスに転化しているように思う。
以下に引用するト書きなど、インテリには断じて書けない魅力にあふれている。

「足留男の無遠慮な目が玖美子の体の線に添って這う。
玖美子、ツンとして目を逸らし、佐智彦を促す。
玖美子「行こ、小父さん……」(P35)


まるで視線で衣服を剥ぎ取るように若い女性を見ることができる――。
これは田舎モンのノーインテリ(ノータリン)にしかできない行為である。
ドラマは成績優秀、品行方正の人物ばかりではつまらないのである。

伏線の作り方が勉強になる。
伏線というのは「わからない」ということなのだろう。
たとえば、理由・動機の「わからない」行動をある人物がする。これが伏線だ。
ミステリーのみならず事件を起こすのも伏線である。
ちょっとした事件(異常事)が起こったとする。だれがやったのか「わからない」。
これもまた伏線である。人物自体が伏線というケースもあろう。
「謎の男」はその典型である。

嘘がドラマを動かすことが多い。
人間はだれででも欲望を持つ。現実をできたら思うがままに動かしたい。
自分の都合のいいようになってほしい。要は得をしたい、いい目を見たいのである。
だから、嘘をついて現実(他人)になにかを仕掛けていく。
シナリオを勉強するなら、作法書を読むよりも、名作に触れるに限るのではないか?

COMMENT

maq URL @
11/24 23:25
はじめまして. 海照らしについての記事、ありがとうございます。突然すみません。maqと申します。

当時小学生で、確か冒頭当たりから寝てたんですが、
目が覚めかけた時に聞こえてくる台詞があまりにも卑猥で」
さらに画面を見ていないので余計にエロエロしく感じて
起き上がれないわ気になるわで結局話がわからないまま今に至ります。

一体どういう話だったんでしょうか?

「小父さんは脱いでしまったんだ」とか言ってませんでしたか?

当時「ええええええ!?」と思った記憶が…

Yonda? URL @
11/26 09:33
maqsさんへ. 

ごめんなさい。本棚をあちこち探してみましたが、シナリオ掲載誌がどうしても見つかりません。発見してもいま再読している時間はないのですが……。記憶を頼りに書きますから不正確かもしれませんが。

> 一体どういう話だったんでしょうか?

都会の民俗学者の男性のひと夏の甘い思い出です。あわや親子丼(母のみならず娘とも性交)かという。

> 「小父さんは脱いでしまったんだ」とか言ってませんでしたか?

いまそのシナリオが見当たりません。来月になったら大掃除レベルの捜索をして探しましょうか? 「小父さんは脱いでしまったんだ」のセリフがあるかをたしかめればいいのでしょうか? いっそのこと見つかったらシナリオを郵送いたしましょうか? お役に立てたらと思っております。非力で申し訳ありません。
maq URL @
11/29 23:01
お返事. 早速のお返事ありがとうございました!

松下由樹(姪)は未遂だったのですね!安心しました。
結局深い仲になってしまったのかと…

何か祭だか神事だか見知らぬ男とそういう事になってしまうとかいうシーンもあったような
私の想像(妄想?)もあるかと思いますが、
一体どういうドラマなんだこれはとトラウマものです。
NHKでそんなドラマやると当時は思っていなかったので…

捜索して頂くとか私めにそのようなお時間を取って頂く必要はありません。もしご存知だったら程度でコメント致しました。
申し訳ありません。
ありがとうございます。
Yonda? URL @
11/30 19:59
maqさんへ. 

むかしのNHKっていまからは想像つかないようなドラマを放送していたかもです。この「海照らし」なんかもエロいですからね。文芸的色恋ドラマというジャンルがむかしはあったのかもしれません。よくも悪くもむかしの脚本家は文学に過剰なコンプレックスを持っていたのでしょう。文芸(=芸術)ドラマだという建前をもとにかなりのエロを許容していた。天下のNHKがです。

ヒロインが祭りのとき、海から流れ着いた異人さんとガンガン性器をぶつけ合うシーンがたしかありました。この脚本家のおまんこ好きにはあきれ、いや感心します。どんなものでも人よりも好きになれるというのは偉大なことですから。いまもってシナリオは見つかっていません。どうもすんません。








 

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