「開高健」

「開高健 眼を見開け、耳を立てろ そして、もっと言葉に…」(開高健/日本図書センター)

→開高健のエッセイ名作集を、酒を呑みながら読むのは悪くない。
こういうのを贅沢というのである。
芸術を志すものは、贅沢をやめるとダメになると思う。
かといって、やたら散財するのが贅沢ではない。
むかしは精神の贅沢があった。いまは気高いものがなにもなくなってしまった。
まわりすべてが賤しいものばかりではないか。
勝てばいいのか。儲かればいいのか。長生きすればいいのか。それだけでいいのか。

「成熟するためには腐らなければならない。
腐敗は恐れ、避けてはならず、むしろすすんでさらけださなければならない。
それが貴いか賤しいかは何年もたってみなければわからない。
経験、イマージュ、言葉をつみとり、たくわえ、陽にさらし、腐らせ、
踏みつぶさなければならない。
頑強な、厚い、暗い樽に封じてその闇のなかでつぶやきをかわさせあい、
クモの巣と冷暗のたちこめる地下の闇のなかで何年となく眠らせなければならない。
才能で書くのでもなく習練で書くのでもなく、
それらに助けられながらも自然を主役として書くときがなければならない」(P52)


待つことほど難しい人為はない。
だが、時間による仕事ほど輝かしいものはまたないのである。
人間は無為でいいのかもしれない。
そのほうが時間の活躍は強まるのであろうから。
なにもしないで待つのが、人間にとっておそらくいちばんの困難である。

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