「酒呑みに捧げる本」

「酒呑みに捧げる本」(山本容朗 編/実業之日本社)絶版

→酒を愛する文学者たちの書いた随筆、小説を集めたもの。
思ったのは、むかしの文士はよろしい。めちゃくちゃでおもしろい。
いつから奇行や蛮行を英雄視する視点が庶民から失われたのだろう。
みんな自分とおなじ小市民にしなくては、かれらは満足できないのかもしれない。

酒をいっぱい呑める人間は偉いという価値観がいまだわたしのなかにはある。
なんということはない。
わたし自身が酒の呑み比べで国内国外問わず負けたことがないからである。
自尊したいがための主張であろう。
しかし、やはり、言いたいのだ。
男なら、虚業を志すなら、酒をがんがん無鉄砲に呑むべきではないか。

なにが人間にとってプラスなのか。
健康で長生きすればそれでいいのか。
人生はたびたび旅に例えられる。
旅行はなにもなかったらそれでいいのか。
もしや予想外の事件やハプニングが我われに豊饒をもたらすのではあるまいか。
こう考えたとき、「酒での失敗」はかえって成功方程式のように思えてしまうのだが……。

なにゆえ我われは酒を呑むのか。
長生きしたいからでも、カネを儲けたいからでも、異性にもてたいからでも、ない。
ないのである。だとしたら、いったい――。

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