「明日は雨でしょう」

シナリオ・センター研修科課題第8回目。「不安」(20枚)。

<人物>
朝倉今日子(28)主婦
朝倉道夫(32)その夫
朝倉知典(とものり)(5)その子
坂東義雄(27)主夫
坂東孝史(4)その子

○スーパー・中
朝倉今日子(28)がカゴを片手に買い物。そばに朝倉知典(5)がいる。
野菜売場。今日子は見切り品コーナーの黒ずんだ枝豆を手に取る。半額シール。
今日子は半額の枝豆を元に戻すと通常販売コーナーへ向かい、
きれいな枝豆をカゴに入れる。今日子と知典は惣菜コーナーへ。
知典が奇声を上げハンバーグに向かう。知典はハンバーグを手づかみにする。
今日子「トモ、やめなさい」
知典は泣き喚(わめ)く。不愉快な泣き声。
買い物客が今日子と知典を振り返る。
男A「うるさい!」
今日子「すいません」
今日子は知典を黙らせようとするが、かえって大声を上げる。
店員が駆け寄る。床に落ちたハンバーグ。
今日子「すいません。代金は支払います」
店員「いいえ結構です」
知典が泣き喚きながら別方向へ駆け出す。追いかける今日子。

○同・全景(夕方)

○同・中(夕方)
坂東義雄(27)が見切り品の枝豆をカゴに入れる。
惣菜コーナーでハンバーグを三つビニールパックに入れる。

○公園(夕方)
今日子と知典がベンチに座る。ランドセルを背負った小学生の集団が通りかかる。
今日子は小学生と知典を見比べる。
知典が水飲み場に行き蛇口をひねる。勢いよく流れでる水。

○朝倉のマンション・リビング(夜)
コップにビールが注(そそ)がれる。横に枝豆。
コップを一気に飲み干す朝倉道夫(32)。向き合って今日子が座る。
今日子「見て、これ(と紙をさしだす)」
朝倉「うん(見ていない)」
今日子「ポストに。今年に入って三度目」
中年女性の声「どうか深夜および早朝はお静かにお願いします。
おたくのお子さんの騒ぎ声に大変迷惑しています。
改善しない場合、警察への通報も検討中です」
今日子「これいったいだれ。名前を書かないなんて卑怯じゃない。謝りにも行けない」
朝倉「うん」
今日子「説明もできない。うちの子は障害があるって。それでも私は精一杯やってる」
朝倉「うん」
今日子「聞いてるの? どうして私だけこんな目に遭わなければいけないの。
元はといえば」
朝倉「やめろ」
今日子「ぜったいうちの血じゃない」
朝倉「その話はしない約束じゃなかったか」
今日子「どうして?」
朝倉「聞きたくない(と立ち上がる)」
今日子「どうしてお兄さんの自殺を隠していたの? 事故だなんて。
亡くなったお兄さん、おかしかったんでしょう。だから、だから、うちのトモも」
朝倉「メチャクチャを言うな」
朝倉は今日子を引っぱたく。今日子は泣く。知典が現われ泣き叫ぶ。

○同・今日子の部屋(夜)
知典が寝る。横に今日子が添い寝。
読書灯の消し忘れ。その下にノートパソコン。
画面。「知的障害の男性、幼女に性的暴行」「老母、知的障害の長女を絞殺」。
今日子が目を開く。横の知典をじっと見つめる。

○同・全景(朝)

○同・朝倉の部屋(朝)
知典の奇声。朝倉が布団から起きる。

○同・リビング(朝)
台所の三角コーナーに枝豆の皮。朝倉と知典が現われる。
朝倉「お母さんはどこかな?」
朝倉は携帯電話をかける。着信音が鳴り響く。
テーブルに今日子の携帯があるのだ。携帯の下に置手紙。
今日子の声「トモはまかせた」
朝倉「このままなんてことないよな、おい」
朝倉は知典を見つめる。

○繁華街
お洒落した今日子が歩く。横から坂東。
坂東「もしもし、おねえさん」
今日子「はあ?」
坂東「これ落としましたよ」
今日子「え?(と見る)」
坂東「落し物(と手には五円玉)」
今日子「――」
坂東「――」
今日子「からかってる?」
坂東「いいえ」
今日子「ナンパでしょ?」
坂東「まあ」
今日子「本気でこんなのに女が引っかかると思ってる?」
坂東「いえ、フフ、ですよね」
今日子「なにかの罰ゲーム?」
坂東「ひどいな。せっかく勇気を出して」
今日子「私、五円で釣れるような女?」
坂東「とんでもございません」
今日子「行こう」
坂東「え? どこへ?」

○ラブホテル・全景

○同・中
身体にバスタオルを巻きつけた今日子が整ったベッドの端に腰かける。
今日子「――」
下半身タオルの坂東が現われる。
坂東「ここまで来て、なんかおかしいけれど」
今日子「うん?」
坂東「よくわかんないっていうか、嘘だろうっていうか、信じられないっていうか」
今日子「うん」
坂東「ナンパなんてしたことなくて。え? こんなのありなの? なんて今更だけど」
今日子「わかる」
坂東「え?」
今日子「私もナンパなんて初めて」
坂東「へえ」
今日子「そういうことしたことないし、自分がするはずがない。そう思っていた」
坂東「そうなの」
今日子「でも、こんなことになっている。私が無理やりホテルに連れ込んだのに」
坂東「いえ」
今日子「悪いけれども、こんなの初めて」
坂東「フフ、似た者同士」
今日子「メチャクチャしたくて、とっても悪いことしたくて、人生にアッカンベエしたくて、
でも、いざとなると(と震える)」
坂東「そういうこと、ある」
今日子「あなた悪い人じゃなさそうだったし」
坂東「マヌケなナンパで」
今日子「恥ずかしい話だけれど、いま裸で震えている。怖い。本当は――」
坂東「いい。本当、いらない」
今日子「いらない?」
坂東「一日だけ。本当にサヨウナラ」

○東京タワー・全景(夕方)

○同・展望室(夕方)
今日子と坂東が夕陽に照らされた東京を眺める。東京湾が見える。

○出港する大型汽船(夜)
東京湾納涼船の「さるびあ丸」である。

○さるびあ丸・デッキ(夜)
浴衣(ゆかた)姿のものが多い。
今日子と坂東が夜の海を見ながらビールを飲む。
今日子「いま私は海外に売り飛ばされようとしている。
なにひとつ悪いことをしていないのに、運命の悪戯で。ああ、なんて可哀想なのだろう」
坂東「そこに小船に乗ったヒーローがやってくる。悪いやつを次々に倒していく」
今日子「ふたりはとうとう巡り合い」
坂東「いまこうして勝利の美酒を」
ふたりは乾杯する。
今日子「こんなことあるんだね」
坂東「うん?」
今日子「人生、なにが起こるかわからない」
坂東「うん」
雨が降り始める。
今日子「おかしい。今日はずっと晴れだって」
坂東「わからないね」
今日子「本当」
ふたりは笑う。雨が激しくなる。
坂東「雨の東京もなかなか」
今日子「うん、こうして見ると」
さるびあ丸が港に戻る。

○療育センター「たんぽぽ園」・全景

○同・中
今日子が知典と手をつなぎ歩く。
知典が駆け出す。前方の坂東孝史(4)にぶつかりそうになる。
今日子「ごめんなさい」
孝史の横の坂東が振り返る。
今日子と坂東は顔を見合わせる。お互いの子どもを見る。状況を理解する。
あまりのことに今日子と坂東は笑い出してしまう。知典と孝史は泣き喚く。


(補)10年以上もまえ大学生のころ繁華街で女子高生をナンパしたことがあります。
言うまでもなく、成功の理由は相方のルックス、トークが抜群だったからです。
カラオケに行って、「じゃあ、さようなら」でした。
いえいえ、シナリオとはなんの関係もない思い出話です。
シナリオは、Uさんが「感情移入できない」と批判してくるから障害を利用。
しかし、(身体障害者と異なり)知的障害者に人は同情できないので、その母親を。
書いていてあまり楽しくなかったです。おのれの枯渇を意識しました。

COMMENT

読みました URL @
09/15 02:03
. このシナリオ、一体何が言いたいのか全然わかりません。どのキャラクターにも感情移入できません。殺伐としすぎでついていけません。これ、どこでどうゆう風に使うつもりなんですか? 悪いですが駄目でしょう、これ。
Yonda? URL @
09/15 21:06
名無しさんへ. 

ご意見、参考になりました。

ありがとうございます。








 

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