シナリオ・センター第19回提出課題。「原作ものの脚色」(20枚)。

<人物>
蜂屋長介(14)中学生
赤沢佳子(14)中学生
赤沢志郎(49)その父親
風見純平(25)美術教師

○赤沢家・佳子の部屋
蜂屋長介(14)と赤沢佳子(14)が向き合って座る。
どちらも画板を首からかけている。お互いを色鉛筆で模写している。

○赤沢家・外観
雨風が激しい。
佳子の声「聞こえない?」
蜂屋の声「え?」
佳子の声「足音」
蜂屋の声「だれの?」
佳子の声「台風」

○河岸
河が増水している。
佳子の声「大きな恐ろしい台風が来ればいい」
蜂屋の声「そんな」
佳子の声「みんな、なにもかも流してしまえ」
蜂屋の声「冗談(でしょ?)」
佳子の声「絵なんか描いている場合じゃない。台風が来る。
わあって叫びたい。表に出て、雨に打たれて、叫ぶの。いらっしゃい」
蜂屋の声「いらっしゃい?」
佳子の声「そう。いらっしゃい。ようこそ、はるばる。ずっと待ってた。いらっしゃい」

○赤沢家・佳子の部屋
佳子は画板を放り投げる。
蜂屋が顔を上げると佳子の顔がすぐそばにある。
蜂屋は描いた絵を隠そうとする。美しい佳子が模写されている。
蜂屋も床に落ちている絵を見る。
蜂屋とは似ても似つかぬ赤ん坊の顔が描かれている。
蜂屋「これだれ?」
佳子「長介くん。私にはこう見えるの」
蜂屋「これは僕じゃない」
佳子「足音(と蜂屋から離れる)」
急なノックの音。返事も聞かずにドアが開く。赤沢志郎(49)である。
佳子「お父さん」
赤沢「いや、お茶をな」
佳子「疑っている? 私と長介くん(と笑う)。
見て。このチビ介。喧嘩したら私がやっつけちゃう。チビ介を男として見られない」
蜂屋「僕だって、こいつ、女かよ。女なんかじゃなくて」

○佳子の絵
八歳の佳子が稚拙に描かれている。
十歳の佳子が描かれている。
十二歳の佳子が美しく描かれている。

○赤沢家・佳子の部屋
赤沢「夕飯も食べていきなさい」
赤沢、蜂屋、佳子は部屋を出る。
蜂屋の描いた十四歳の佳子の絵。

○公立中学校・全景
快晴である。
蜂屋の声「いろいろな台風がある」

○公立中学校・美術室
授業中。窓が開いている。合唱が聞こえる。
黒板のまえに風見純平(25)。
風見の話を聞き入る生徒たちの中に蜂屋と佳子がいる。佳子は風見に見入る。
風見「絵はどう描いたって構わない。要するに目の問題だ。
なにをどう見るか。どのような見方をしてもいい。
しかし、人間はなかなか自由にものを見ることができない」
佳子「フフ」
蜂屋「――(佳子を見ている)」
風見「才能とはなにか。むろん、こんなことは中学校で教えることではない。
絵がいくらうまくたって、せいぜい教師くらい」
佳子「(小声で)そんなことない(と首を振る)」
風見「こんなところで先生をやっている人間に才能があるわけがない。
だが、才能のなんたるかはわかる。見えないものを見る。これが才能だ。
天才はだれにも見えないものを見てしまう。描いてしまう」

○公立中学校・全景
放課後で帰途に着く生徒たち。
蜂屋の声「見えないものを見る」

○公立中学校・美術準備室
美術室にはだれもいない。
蜂屋が入ってくる。脇にある準備室で物音が。
蜂屋がのぞくと、佳子と風見が抱き合ってキスをしている。
蜂屋は佳子と目が合う。蜂屋はその場から逃げ出す。

○道(夕方)
蜂屋が歩く。後ろから佳子が肩を叩く。
夕陽が郵便ポストを照らす。
佳子「どんなふうに見えた(得意気)」
蜂屋「どんなって」
佳子「才能の問題」
蜂屋「そうかな」
佳子「そう。ものをどう見るか。先生と生徒がいけないんだ。なんて思ってるでしょ」
蜂屋「ううん(しかし図星)」
佳子「どうしてくだらない規範から自由になれないのだろう。
本当の姿が見えないのだろう。愛が、見えないのだろう」
蜂屋「愛、なの?(ショック)」
佳子「先生、すごい才能があるの。絵を見せてもらった。驚いた。
まるでものの見方が違う。世界はこうも見えるのか」
蜂屋「愛、してるの?」
佳子「コンクールでもいいとこ行っているらしい。
早く先生なんかやめたいって。先生はぜったい一流になると思う」
蜂屋「本物じゃないと思う」
佳子「え?」
蜂屋「あの先生は一流かもしれないけれど、本物ではない」
佳子「やいてるの? 先生、もてるから」
蜂屋「違う」
佳子「フフ。もてないくせに。チビ介が」
蜂屋はひとり駆け出す。

○赤沢家・居間(夜)
赤沢「(電話口で)長介くんも知らないか」

○蜂屋家・居間(以下随時カットバックで)
蜂屋「(電話口で)はい」
赤沢「いきなりだ。今夜は友だちの家に泊まる。ガチャン。
だれのところか言わない。こんなことは初めて。携帯も切っている」
蜂屋「ええ」
赤沢「さっぱりわからない。へんてこなことを言う。
最初の鳥は、どうして飛んだか」
蜂屋「鳥ですか?」
赤沢「最初の鳥は、どうやって飛ぶことを覚えたのか」
蜂屋「さあ」
赤沢「風にうまく乗ったからだと言うんだ。最初の鳥は、風に飛ばされた」
蜂屋「へえ」
赤沢「佳子がだれと一緒か心当たりはないか」
蜂屋「ええと、ないです。ありません」

○道(夜)
街路樹の紅葉。強風で葉が散る。
風見と佳子がホテルに入る。

○蜂屋家・蜂屋の部屋(夜)
蜂屋が夢中で絵を描いている。
裸体の佳子である。蜂屋の周辺に絵が散乱している。すべて全裸の佳子。

○河岸(夜)
風が強い。雨が降り始めている。

○空港
蜂屋の声「やはりあれは台風のようなものだったのかもしれない」
旅客機が飛び去る。見送る佳子。

○蜂屋家・蜂屋の部屋
蜂屋が絵を眺めている。シナリオ冒頭で描いた佳子の絵である。美しい。
蜂屋の声「僕はこの絵がいちばん好きだ。見たままを描いたからだ。
見えないものを見るのがそんなに偉いのだろうか。
僕は一流にはなれないかもしれない。
けれど、思う。本物になってやろう。本物になるからな」

○河岸
制服姿の蜂屋が写生している。制服姿の佳子が通りかかる。
物音を立てずに蜂屋に近寄る。佳子は蜂屋の後方から手を回し両目を覆う。
佳子「なにが見える?」
蜂屋「真っ暗。なにも見えない」
佳子「見える」
蜂屋「見えない」
佳子が手を外す。
蜂屋は目をつむっている。
蜂屋「見える。佳子の泣きっ面が見える。
あいつに振られてわんわん泣いている佳子が見える。なにが愛だ。愛なもんか」
佳子「やめて」
蜂屋「ニューヨークに行くから、さようなら。
みなさん、夢はあきらめなければ、かならずかなう。夢を見ましょう。
佳子のことなんて、これっぽっちも頭にない」
佳子「ひどい」
蜂屋「ザマアミロだ(と目をあける)」
佳子が泣いている。
蜂屋「バカヤロウ(と蜂屋も泣いてしまう)」
河が流れる。
笑顔の蜂屋と佳子が横向きに蟹(かに)歩き。
蜂屋「辛いときは蟹になろう。蟹は前向きになんかならない。前進もしない。
厚い甲羅で身を守り、憎い敵はジョキンだ」
蜂屋は手でピース。
佳子「ジョキン(と蜂屋を真似てピース)」
蟹男と蟹女が河原を遊歩する。

○蜂屋の風景スケッチ
河岸の彼方、大空に虹がかかっている。


(補)オリジナルではなく原作があります。課題の原作はみんなおなじ。
「赤い屋根」というタイトルの短い童話を原作にしなければなりません。
禁じられているナレーションを使ってしまいました。
最近は添削者の先生からも見離されているので、自棄気味です。
いまや誤字すら指摘してくれません。自業自得でしょう。
長いものを最後までお読みいただき本当にありがとうございます。

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