「図解雑学 株のしくみ」

「図解雑学 株のしくみ」(寺尾淳/ナツメ社)

→とても良心的な本だと思う。虚心坦懐に読み通せば、
素人は株になど手を出してはいけないことがわかるよう書かれている。
どうして株で大損をする一般人が絶えないのだろう。
「楽をして儲ける」というのは人間にとって麻薬のようなものなのかもしれない。
ふしぎと自分だったら失敗しないような気がしてしまうのだろう。
人間の哀しくも浅ましい弱点である。
我われよりもはるかに学習、経験を積んだプロの証券マンでさえ株で損をする。
本を数冊読んだくらいで株を始めるのは、
いかだで太平洋に繰り出すようなものではないか。
必ず儲かる株などあるわけがない。
なぜなら正確にはだれも明日のことを知りえないからである。

それでも確実な未来を予想しようと世界中の投資家が情報を集めている。
結局は情報量の勝負になってくるのだと思う。
個人投資家がプロに比するほどの質の高い情報を集められるはずがない。
そのうえ情報収集には切りがないのだ。
いくら集めようと情報は際限もなく現われるだろう。
24時間情報収集に当てても足らないくらいではないか。
これではたとえ儲けても時給換算したらどのくらいになるのだろう。
株で生活しようと思ったら1日24時間、こころ休まるときがなくなると思う。
餓鬼にも等しい精神状態におちいることだろう。

本書に投資家必携のバイブル、会社四季報が転載されている。
これを見てあるものにそっくりだと思った。
健康診断などでもらう血液検査の結果表である。
数字がずらりと並んでいるあれだ。
投資家は会社四季報を見て、株を購入するかどうか検討する。
医者は血液検査の結果を見て、成人病のリスクを伝える。
株のいかがわしさと血液検査のそれは相通じるものがあるのではないか。
中性脂肪が高かろうがコレステロールが高かろうが長生きするものはいるのである。
逆に血液検査の数値がどんな良くても脳卒中で早死するものがいる。
にもかかわらず、医師は血液検査の数値を重んじる。
投資家は会社四季報の情報を重宝する。
両者とも人生のなんたるかを知ろうとしない傲慢さが似通っているように思う。
要するに、数字では計れぬものの存在に鈍感なのである。
人間の無力を知らない、と言い換えてもよい。

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