「女」(木下恵介/日本シナリオ文学全集1/理論社)絶版

→映画シナリオ。昭和23年公開作品。
これを映画で観たのならいちおう巨匠の作品だから女優の演技がどうの、
監督の演出がどうの、と講釈をたれることが可能なのかもしれない。
けれども、シナリオで読んでしまうと、なんてことはない。
ヒモのチンピラと、かれに吸血される踊り子の逃避行である。
チンピラはいましがた強盗をしてきたばかりで女との逃亡をはかる。
最後は女から見捨てられ、あわれブタ箱行きと相成る。
ことさら感嘆するような点はシナリオから発見できなかった。
意地悪なことを言うなら、娯楽の少なかった時代である。
スクリーンに美男美女が映写されていたら観客はなんでもよかったのではないか。
ともあれ、木下恵介ならではのセリフを一箇所、引いておこう。
チンピラは戦争が自分を悪くしたのだと言い張る。

「俺は弱いんだ、俺はどうせ弱いんだ、おっかなびっくり悪い事をして、
お前にも嫌われちゃって、首をしめられるまで、一人で逃げ廻るより仕方ないんだ。
でも敏子、俺は本当にお前を愛していたんだぜ、
お前だけを一番愛していたんだ、それだけはいつ迄も忘れないでいて呉れ」(P41)


ああ、おいらも女からつくされ、みつがれ、されてえもんだ。
そのためにゃあ口をうまくせんといかんが、これがダメなんだな。
悪いことをできるようなタマでもなし。いけねえ、いけねえ、人生さっぱりだ。

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