「名水紀行」

「名水紀行 山頭火と旅するおいしい水物語」(佐々木健/春陽堂)絶版

→山頭火の聖人だか俗物だかわからぬところがいいんだよな。
たとえば放浪のゴールとして永平寺におもむく。
永平寺は道元の創建した、いわば禅のメッカである。
ここで山頭火はもっともらしい俳句を作る。

「水音のたえずして御仏(みほとけ)とあり」

なんか悟っちゃったような句でしょう。
ところがところが、日記を見てみるとおもしろい。
わずか3日で山頭火はこの修業道場を逃げ出しているのだから。
なんのことはない、酒がのめないのに我慢できなかったのである。

似たような経験がある。
インド片田舎のとある仏跡地に行ったときのことである。
へんぴなところだからホテルなんてない。
スリランカ建立のお寺に泊まらせてもらう。
もちろん飲酒など言語道断である。
あはは、リュックからウイスキーを取り出し、こっそりのんじゃった。

こんな甘えた弱いわたしだから、山頭火が好きなのだろうな。
自制心のある人は、山頭火ではなく尾崎放哉を好むようである。
弱くたっていいじゃないか。
山頭火の自由律俳句や生きかたから、居直りのようなものを感じる。
好き嫌いがわかれるところである。

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