「五千回の生死」「避暑地の猫」

04/07/29 07:19

「五千回の生死」(宮本輝/新潮文庫)*再読

→近松門左衛門の有名なことばがある。

「芸といふものは実と虚との皮膜の間にあるもの也。
……虚にして虚にあらず、実にして実にあらず、この間に慰が有たもの也」


宮本輝が作家として目指した境界はここにあるのではないか。

虚にして虚にあらず、実にして実にあらず。

その間にある感動を宮本輝は書こうとする。
かれは信じているのである。
その感動を与える以外に芸というものの存在理由はあるものかと。
「五千回の生死」は短編小説集。
ここに収録されている「アルコール兄弟」は
宮本輝が全集に入れるのを拒んだという逸話がある。
読んでみるとたしかに失敗作。なにを書いているのかさっぱりわからない。


「避暑地の猫」(宮本輝/講談社文庫)*再読

→宮本輝作品としては異色作。悪人しか出てこない小説を書こうとしたらしい。
この悪人路線は「避暑地の猫」一作でやめてしまったようです。
天才にしか書けない小説。
うーん。天才とは書きましたが、再読した今回は裏の設計図が見えてきたのも事実。
創価学会の思想から、ある程度までは絵解きすることができる。
といっても、所詮「ある程度まで」。
そこから先は天才にしか見えない「光と闇」があるのだと畏怖するほかありません。

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「避暑地の猫」  翠 の 風  2005/12/04 20:28
題名:「避暑地の猫」著者:宮本輝発行:講談社文庫頁数:243読みやすさ:3/5おすすめ度:2/5 舞台は軽井沢の高級別荘で、欲望に満ちた人間たちが背徳を重ね、最後は無惨に死んでゆく、というもので、なんだかどろどろとして、読みながら”どよ〜ん”と重い空気..