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「北国の春」

「北国の春」(井上靖/講談社文庫)絶版

→ひとり杯を傾けながら井上靖の軽めの小説を読むのもまた、
数少ない人生の愉しみのひとつかもしれない。「北国の春」は短編小説集。
どんなに短い小説でもなにかが起こるのは著者が物語作家であるためだろう。
非難しているのではない。それどころか、むしろ物語歓迎である。
なにも起こらない小説を読んで悦に入るような文学青年ではない。
物語とはなんだろうか。これまで幾度も考えてきたことである。
いま酔い心地で思いついたのだが、
偶然が偶然ではないように見えるのが物語ではないか。
偶然なのだが、そこにはなにかしらの手が加わっているように見える現象。
だが、もしこれを物語と定義するなら、すべてが物語になってしまう。
あなたもわたしも人間はまったくの偶然の産物だが、
だれひとりとして偶然存在しているようには見えぬのだから。
畢竟(ひっきょう)、人間を巧妙に描けば物語になるということだろうか。

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