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「白鳥姫」(ストリンドベリ/山室静訳/学研)絶版

→ストリンドベリはこの童話劇を3番目の妻に婚約の記念として贈呈した。
3人目の被害者は年若き女優である。
つくづく女は馬鹿だと思う。どうしてこの狂人の求婚を受けいれてしまうのだろう。
この時点でストリンドベリ52歳はバツ2(離婚歴2)である。
「痴人の告白」を読めば、この天才がいかなる男かわかるだろうに。
ストリンドベリはこの長編小説で1回目の結婚生活の詳細を暴露している。
内容は一方的な被害妄想。
作者は小説で妻を殴ったことを告白している。
それどころか元妻の性器の形状まで公開しているのだから。
2番目の妻とのいさかいの原因となったのも「痴人の告白」である。
ストリンドベリが読むなと禁じていたこの小説を夫人は読んでしまったのだ。
なぜ若く美しい女優がストリンドベリの3番目の妻になることを決意したか。
女の虚栄心というものであろう。
文名高い大作家が自分ひとりのために作品まで書いて愛を告白してくれた。
いくら地獄が待ち構えていようともこの求愛から逃れられる女はいまい。

「白鳥姫」は童話劇である。愛のすばらしさが描かれている。
白鳥姫は継母(ままはは)に意地悪されている。
実はこの継母は魔女で、あやしげな魔術を用いて白鳥姫を監視している。
父親の公爵は妻の正体を知らない。
公爵が戦地へ向かったのち、白鳥姫の教育係として他国の王子がやって来る。
ふたりは禁じられていた恋をしてしまう。
継母はふたりの仲を裂こうと悪だくみの限りをつくす(かわいそうな白鳥姫!)。
戦禍はこの屋敷に迫る。王子は他国へ戻らなくてはならない。
引き離される白鳥姫と王子である。
継母の魔の手はひとりとなった白鳥姫を抹殺せんとする。
ああ、白鳥姫が姦計にしてやられてしまう。
そのとき父の公爵が帰還して、あらゆる悪だくみが露見する。
おりしも王子の亡骸(なきがら)が運ばれてくる。
国へ戻る途中、嵐に巻き込まれ水死してしまったのである。
いまもうひとり死なんとしているものがいる。
魔女の正体がばれてしまった継母が公爵から罰せられようとしているのだ。
心優しき白鳥姫は父の公爵に継母の助命を懇願する。
かたきの命乞いである。父は娘の願いを聞き入れる。
継母は白鳥姫の愛に打たれ、改心して真人間となる。
しかし、かわいそうなのは白鳥姫である。死んだ王子はなにをしても生き返らない。
継母は白鳥姫に語りかける。

「お前は愛することができて、人を許すこともできます……そうよ、
だから、お前にはどんなこともできるのです、万能の娘よ」(P316)


お前の手をあの人の胸の上にのせるのだ。そうして恋しい人の名前をお呼び。
かならずお前の声はあの人の耳に届くはずだよ。
言われたとおりに白鳥姫は王子の胸に手をおく。
耳元で三度、愛するものの名をささやいたとき――。
もはや決して動かぬと思われたものが息を吐き目を明け白鳥姫を見たのである。
愛は死という断絶すら乗り越えることができる!

だから結婚しないかい?
男根鬼ストリンドベリは女の耳元で甘く愛をささやく。
こうして3度目の愛憎地獄が始まったのである。

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