「月光」

04/07/02 09:28

「月光」(井上靖/文春文庫)

→先日のちょっとした小旅行のおり、往復の電車で読んだ本。青春恋愛小説。
といっても「セカチュウ」とは似ても似つかぬ。出版されたのは昭和35年。
「貞淑」だの「家柄」だの、今では聞きなれない言葉がずらりとせいぞろい。

主人公は結婚適齢期の女性。ふたりの男性から求婚されて迷っている。
ひとりは幼馴じみ。
「サザエさん」にでてくるノリスケさんみたいな感じ。
もうひとりは会社の同僚。
「美味しんぼ」にでてくる山岡士郎タイプ。豪放磊落(ごうほうらいらく)。
三人がそれぞれ自らの誠実を問い、愛に悩み、幸福を指向するその葛藤――。
ほのぼのとした気持ちになった。こんな時代があったのかと。
この小説を自分の恋愛と照らし合わせながらまじめに恋愛をした世代。
今はもうおじさん、おばさんなんだろうな。
もしかしたら、もうおじいさん、おばあさんかも。
電車に揺られながら、窓外に広がるのどかな田園風景にしばし見入った。

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