「螢川・泥の河」

04/06/21 09:22

「螢川・泥の河」(宮本輝/新潮文庫)*再読

→山頭火の句を思い出した。

「生死の中の雪ふりしきる」

この句の前書きに「生を明(あか)らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり」という
「修証義」からの引用がある。生とは何か、死とは何か。
山頭火の歩いたこの道を宮本輝も歩いたのだと思う。
その歩みは、どこへ向かうのか。
今回、宮本輝のデビュー作ふたつを久しぶりに再読してそぼくに感じたのは、
「よくひとが死ぬなぁ」ということ。
短編にもかかわらず二作とも二人の人間が小説内で死ぬ。
「泥の河」にいたっては、いきなり死の描写からはじまるくらいである。
「死」から小説をスタートさせた宮本輝は「性」に行き着く。
「泥の河」では盗み見る性交、「螢川」では螢が踊り狂うなかできらめく思春期の性。
のちに展開する宮本文学の枠組みがこの「螢川・泥の河」にしっかりと凝縮している。
そんなことを思いました。

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