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ルサンチマン

最近、これはやばいと危惧していることがある。
ウソだろうと笑われそうだが、ほんとうなのである。
ルサンチマンが、うん? どういえばいいのだろう。
ルサンチマンが、減るというのか。弱まるというのがただしいのか。
消えてはいないのである。けれども、以前に比べたらだいぶ小さくなっている。
よくない。よどんだ鬱積は表現の熱源と思うとき、これはたいへんよくない。

2年前、三浦しをんが直木賞を取ったときは苦しかったものである。
この作家はわたしとおない年。早稲田の一文出身というのもおなじ。
めらめらめそめそした記憶がある。
ところが、なのだ。先ごろ芥川賞を受賞した川上未映子も昭和51年生まれ。
おどろくほど、平気なのである。まいらない。
きれいなひとだな。こういうひとを才色兼備っていうんだろうか。
なんて、のほほんとしている。才能のある人間はうらやましいと思うが、
それはマイナスの感情をともなわないおだやかな感嘆に過ぎない。
「平成の樋口一葉」とうたわれた川上未映子の広告写真をみる。
いまが彼女の人生でいちばん楽しいときなんだろうなとなんだかほほえましくなる。

いったいわたしはどうしてしまったのだろう。
死期がせまっているのではないかと不安になるくらいである。
ルサンチマンの減退のみならず、
もっとよくないのはこのごろおかしなものが心中に芽生えているのだ。
希望である。春がすぐそこまで来ているような希望をもちはじめている。
ふしぎなのは、どこからこの希望が生まれたのかさっぱりわからないことである。
まるで根拠というものがない希望だ。
年齢的にも健康的にも経済的にも、どこからも希望など生まれるはずはない。
にもかかわらず、このところ希望というほかない肯定的な感情をいだいている。

いっときの迷いならいいのだが、これが続くとなると心配である。
むかしのわたしに戻りたい。
バレンタインデーに出刃包丁片手に渋谷を疾走したいと熱望したあのころがなつかしい。
むろん、今年もチョコなどひとつももらっていない。
そのくせテレビに映る幸せいっぱいのカップルをみながらニコニコしているのである。

COMMENT

くろべえ URL @
02/16 10:27
小谷野先生とか. いい歳をして未だにルサンチマンの塊ですよね。あの人の小説はまだあんまり巧くないけど、あのルサンチマンを維持できれば、これからどんどんいい小説が書けそうな気がします。
Yonda? URL @
02/16 19:53
くろべえさんへ. 

小谷野先生のルサンチマンの育てかたはみごとだと思います。
自分が日本でいちばんになるまで気が済まないのでしょう。
かといって、上ばかり見ているかといったらそうではない。
しもじもの人間を見下して罵倒することを忘れない。
かたくなに成熟を拒絶する小谷野先生から、ある種のすがすがしさを感じます。








 

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