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「お金は銀行に預けるな」

「お金は銀行に預けるな」(勝間和代/光文社新書)

→ひさびさになまぐさい本を読んでみたら、たいへん刺激的だった。
愛も幸福もおカネで買えると悟ったならば(いっときの錯覚だろうが)、
そのとき哲学や文学の無意味がわかるのかもしれない。
本書を読んでからしばらくのあいだ、経済ニュースがおもしろくてたまらなくなった。
わたし程度の人間にも理解できるのだから、
このベストセラーが良書であることは疑いない。
本書の主張をひと言でまとめれば、投資をしよう! である(=お金は銀行に預けるな)。
著者の売りは、経済学を大学院で学んだプロであるということらしい。
本書はばくち打ちが書いたもうけ話ではなく、
学術的根拠のある金融講座だというのである。
無学なわたしは、学問と聞いただけでいずまいを正してしまう。
勝間和代先生の学問的主張を引用する。

「金融で儲けるためには、労働で儲けるのと同じくらい、
あるいはそれ以上の勉強と努力が必要だということは理解しておいてください」(P47)


日本人は無宗教だといわれるが「努力教」がこうもすみずみまで浸透していることに驚く。
学問的にも、努力がたいせつだそうである(笑)。
勉強も必要。勉強したから勝間先生は偉いという理屈ですね。
お勉強の結果を教えていただこうではありませんか。

「私は、資本主義というものは、厳しいいい方をすれば
「賢くない人から賢い人へお金が流れるしくみ」だと思っています」(P125)


なるほど。賢い勝間先生へは、さぞお金が流れているのでしょう。
勝間先生自身はどのような資産運用をなさっているのでしょうか?
本書のどこにも書かれていませんが。手の内を明かさないとは、たしかに賢い。

「ただ、リスクが高いというのは、
リターンのばらつきが大きいといおう意味でもあります。
したがって、そのようなポートフォリオを作ると、
ジェットコースターのような値動きに一喜一憂しなければならないため、
精神衛生上の観点からもあまりお勧めできません」(P184)


正直、いままで先生のことをバカにしていたが、ここでようやく賢さに気づく。
いや、ここまで心の問題が無視されてきたということはよほど鈍いのもしれぬ。
もう学問はわからん。直球勝負、勝間先生の生きかたを知りたいと思う。

「つまり、私たちは、資本主義との関わりにおいて、
これまでのような受け身的な姿勢でいると、老後に受け取る年金は乏しくなる上、
これまで述べてきたように所得格差も開いていく一方になる事態を
招くことになりかねないのです。
なぜなら、これまでの金融資産のあり方――蓄財のために住宅をローンで買う、
若死にするリスクに対しては生命保険でカバーする、
老後は公的年金でカバーする――といったようなモデルでは、
もう自分を守りきれなくなるなるからです」(P208)


ここでポカーンとしたのはわたしだけでしょうか。
さらりととんでもないことが書いてある。
「若死にするリスクに対しては生命保険でカバーする」
これはいったいなんでしょうか。もちろん意味はわかる。
著者は3人の子どもがいる母親。
自分が若死にしても、生命保険で子どもにおカネを残せるということだろう。
だが、こんなかるがるしく自分の死というものを片づけてしまっていいのだろうか。
若死にするリスクって、人生はおカネがすべてかい?
こんな青臭いことを思うわたしは、やはり文学青年なのだと思う。
どうしても、こういうドライな人生観にくみすことができない。

おカネの話に戻ろう。本書で勉強した結果はこうである。
「お金は銀行に預けるな」を読んで、おカネは銀行に預けておくのがいちばんだと思った。
なぜならおカネを増やそうと思ったら、著者のように勉強しなければならない。
この勉強がしたくないのである。労働とまるでかわりないではないか。
さらに投資にはリスクがつきまとう。つまり、目減りする可能性があるということだ。
人間だれにも先のことはわからない。未来を言い当てられる人間などいない。
ならば、確実な投資などあるわけがないではないか。
結局は、投資も運任せなのである。
そのくせもうけた人間は、自分には先見の明があった、努力して勉強した結果などと誇る。
投資の不確実性は、人生の不明に通じる。
人生すらわからないのに、どうして投資などできようか。
時間をかけて勉強して、その結果、投資で失敗したらこんな悲惨なことはない。
また、投資は日々の市場の上下に一喜一憂しなければならない。
これはひどく心の平安を阻害するものである。
投資なんてしたら、毎日、不安にさいなまれることになる。
以上のことを考慮に入れると、さほど増えないにしても、
決して減らない銀行預金がいちばんよろしいのではありませんか。
ニュースでどきどきすることもない。結果の保証されない努力も勉強も必要ない。
投資なんてするものではないというのが本書を読んだ結論である。
(いまは10万円もあればFXでそうとう投機ができるらしい。
ちょっと興味を持ったのも事実です)

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