ボンですよボン。朝起きたらボン。
漢方薬はお湯にまぜてのんでいます。
水道水を電子レンジでチンしようと思ったらボン。
なにごとかと見にいったら電子レンジが動いていない。
もしやと思いあちこちボタンを押したら、やはり死んでいたのです。
電子レンジ死亡。享年不明。20年近く使っていたかもしれない。
神保町に着いたのは、予定より少し遅れて11時半。
どこから見るかといったら、長年の経験、すずらん通りです。
実はこのお祭り、大きくふたつにわかれている。
ひとつは青空古本市。販売されているのは古本。これは10/26〜11/1。
ぶっちゃけ、神保町とはなんの縁もない古書店が集合している。
もうひとつのお祭りは、すずらん通りでやっているもの。
こちらは土日限定。神保町ブックフェスティバルと命名されている。
メインは新刊書の割引販売。
各出版社が新刊書――専門用語でゾッキ本(B本)、
一般用語でバーゲンブック――を販売しています。
露店が出て賑わっているにもこちら。
古本と新刊、ふたつの祭りが並行して行なわれているわけです。
神保町マニアのわたしが行くのは……もちろん、新刊書のほう。
正直なところ、毎年のことですが古本のほうは客を舐めきっているのです。
日本の古書街でいちばん有名なのは神保町。
このいわば聖地の1年に1度のお祭りだからということなのでしょう。
とにかく、ひとが集まる。だから、どこも強気で行こうと鼻息が荒い。
定価の半額くらいで(どれも古本なのに)安売りを気取っているところばかりなのです。
しかし、客も古本とはそう縁のない一般人ばかり。
定価の半額くらいで、これは安いと大喜びするのが青空古本市の実態です。
わたしが行くのは、もちろんすずらん通り。ブックフェスティバルのほうです。
こちらは土日限定で希少性が高い。さらに前日は台風のため中止。
今日が初日である。
晴天の下、各出版社のワゴンをまわる。ああ、幸せだなと感傷的になる。
お空が青くて、ひとがいっぱいで、みんな好きな本をまえにしてニコニコ。
幸福が伝染するわけです。ああ、生きているのはすばらしい。
ワゴンを冷やかすだけで楽しいのです。あまり買う気はない。
いくら新本の割引販売とはいえ、やはり安く売られるには理由があります。
まあ、定価では売れなかった本ばかりなのです。
したがっていくら安くとも……。
安ければ本を買うというひとがいるなら、
ブックオフの105円棚を空にしなければなりません。
1時半、お腹がすいたので買い食い。
すずらん通りの露店でメンチカツ150円。ソースをびちゃあ。左手に持つ。
右手が寂しいので缶チューハイ110円を隣の露店で購入。
左手でメンチカツを食らう。口内のソースを右手の酒で流す。晴天。祭りのひとごみ。
もう1回。メンチカツ。チューハイ。うんめえじゃ、あーりませんか。
ほんと味盲だよなとわれながらあきれる。
なんでこうまでわが舌はちんけなメンチカツと安酒を美味と喜悦するのだろう。
すずらん通りを抜け横断歩道をわたると、なにやらひとが集まっている。
2時からチャリティーオークションを開催するそうである。
壇上には古本の山が積み上げられています。
座席はすでに満席。開始まであと5分だから無理もありません。
わたしは立見の覚悟を決める。
壇上には古書店員がずらり。ひとあたりのよさそうなおっちゃんがマイクを取る。
「このオークションの収益は千代田区を通じてすべて寄付されます。
ですからみなさん、今年も高い値段でがんがん買ってくださいね」
客席から笑いがもれる。オークションを見物するのはこれがはじめてである。
楽しいなと笑みをかくすことができない。
ここに集まっているのは本が好きなひとばかり。目のまえには本の山。
いまから本の山が崩されようとしている。
オークションが始まる。まずおっちゃんが本のタイトルを読みあげる。
さあ、価格をつけてくれというわけです。
ふつう金額なんてつかないと思うでしょう。
だって、本というのはそもそも熟考して買うもの。
著者、出版社、出版年次、線引きの有無など、
もろもろを総合して購買が決定されるものです。
こんなオークションなど成り立つのだろうかと心配していたら、そんなことはない。
すぐに価格がつく。それに対してさらに高額な値段が提示される。
「千円」「千5百円」「2千円」「3千円」「4千円」「4千5百円」――。
こんな感じです。ふしぎでしようがありませんでした。だれが買おうとしているのか。
しばらく見ているうちに気づきます。
声を出しているのはほとんどおなじひとなのです。
いかにも古本好きという顔をしている中年男性ばかり。
複数の古書ファン(神保町マニア?)が毎回のように声をはりあげている。
一般顧客はそんなかれらを観察しています、
本を安く買うことへのこだわりは皆無のようです。
とにかく本を買うのが楽しい。壇上の古書店員と顔なじみのひとが多いようです。
とても百円にこだわるわたしのような本好きが
参入できるオークションではありませんでした。
出品される書物のたいがいはデカモノ。大型本。
いかにも在庫過剰の(というか売れない)ものです。
それがこのオークションにかかるとけっこうな高値で売れていく。
ふしぎな世界を見るような思いがしました。
おそろしいと思ったものです。蒐集マニアはおそろしい。
かれらにとって本は読むものではなく、買い集めるものなのだと改めて気づきました。
かれらにはかなわない。所詮、わたしなどつまらぬ読書家に過ぎぬ。
日本の城がどうのというデカ本に1万円近い大金を支払うマニアに戦慄をおぼえました。
それから青空古本市をぶらぶらしましたが例によって買いたい本はない。
ひとが多いのが不愉快で仕方がありません。
カップルや友人連れで来られるのがいちばん迷惑。
ただでさえ狭いブース。
そのまえをふたりぶん占領されてしまうと、こちらは入っていけない。
なんらかの本に興味があるのはそのうちのひとりで、
ほかはつきあいで立っているのでしょう。
どきなさいと言いたくなる。
最悪なのは、古書のまえで講釈をはじめる人間。
この本はこういう本で、だから貴重で、それをおれは読んでいて、だから君も……。
ここは戦場です。おしゃべりはロッテリアでお願いします。
けれどもまあ毎年のことである。怒る気にもならない。
しかし、ブログに書く以上、なにか本を買っておかなければなりません。
もう時間がない。帰りには池袋に寄って、
新しい電子レンジを買わなければならないのです。
青空古本市はあきらめ、定番の小宮山書店ガレージセールへ。
4日前に来たばかりでしたが――。
「唐詩の旅」(監修:陳舜臣/講談社)
「中国百科」(大修館書店)
「アジア旅の百科 インド/ネパール」(朝日新聞社)
3冊で500円。これでアリバイができたなと急いで神保町をあとにする。
池袋ビックカメラへ。驚いたけれども、いま電子レンジって安いんだね。
最安値がなんと5980円。
もちろん、これを買うつもりだったが、なぜか神保町の古書マニアが思い浮かぶ、
大してほしくもない本に1万円近く支払う人間がいる。たかが本だというのに。
ふしぎです。なぜか見ばえのいい電子レンジを買ってしまう。
オーブンまでついているものです。
今朝壊れたものにオーブン機能はなかった。
オーブンレンジ(ナショナル) 12500円(ポイント10%)
配送料の1050円が惜しくて14キロを自宅までえっちらおっちら運搬しました。
なんだかいろいろあった1日でした。
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