「本棚が見たい!」

「本棚が見たい!」(川本武/ダイヤモンド社)絶版

→ひとに本棚を見られたくない。
もののわかるひとが見たら、ひと目でわたしがばれてしまうからである。
「本の山」のようなブログをやっているくせに意外だと思われるかもしれない。
それは違う。本棚ではタイトルのみ一望のもとに眺められる。
並ぶ本の色合いだけでも、ばれるものがあるのである。
ある本とべつの本の位置関係だけでも、ある種の精神構造が明白になる。
それと、みなさまは、ここに感想を書いているものだけしか
わたしが読んでいないとお思いですか?
これ以上、書いてしまうとやぶ蛇なのであわてて口をつぐむ。

ひとに本棚を見られたくないのに、そのくせ、ひとの本棚は見たいのである。
白状するが、覗き見根性は人一倍旺盛である。
ミラーマン、植草教授にもひけを取らないと思っている(おびえている)。
ひとの隠しているものを見たいという、ほとんど犯罪的な欲望があるが、
これはわたしだけなのだろうか。植草教授が逮捕されたとき、
ワイドショーの男性識者は一様にかの経済学者を理解できないというような顔をしたが、
わたしにはかれらのほうが得体の知れない生物に思えてしまった。
だれだってひとの隠しているものは見たいでしょう?

「本棚が見たい!」なのである。
著名人の本棚がカラー写真で公開されている。それからインタビューである。
まあ、恥ずかしい写真は1枚もなかった。むろん、それでもおもしろいのではあるが。
たぶん、ここを撮ってくれという依頼が本人からかなりあったのではないか。
この本には山田太一の本棚も掲載されている。
目を皿のようにして見たものである。
こんなものをという驚きと(覗き見る)喜びに身もだえした。
けれども、肝心の書庫は地下にあるという。
そこは撮影のみならず閲覧も拒否されたとか。当たり前の話である。

うちの本棚はクローゼットに隠してある。
どういったらいいのか。クローゼット用の小部屋がついているのである。
そこに本棚を4つ入れてある。重要な本はすべてこちらに収納している。
どうでもいいような本ばかりおもての本棚に並べている。
いざとなったらクローゼットの扉を閉めてしまえば完全犯罪だ。
本棚は、わたしにとって、ここだけは隠しておきたいという場所である。
だから他人の本棚を見たいというのは、まったく矛盾していないと思っているが、いかが?

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