「三ノ宮炎上」

「三ノ宮炎上」(井上靖/集英社文庫)絶版

→短編小説集。やってはならないことをしてみよう。
解説からの引用である。
たいがい学童の読書感想文とやらは、解説文を水で薄めることに終始する。
水とは、その学童自身である。
おろかな教員は児童がみな個性をもっていると信じているようだが、
実際の学童とは水である。水だから、退屈な教科を学べるのだ。
関係のない話をした。文庫の解説から引用する。
書き手は尾崎秀樹。文芸評論家のようである。

「彼(=井上靖)はある対談で、小説を書き出した頃、私小説は書くまいと思い、
どうせ書きはじめたのだから、おもしろいもの、
大きいものを書いていこうと考えたと語っていた。
そして一つの物語の世界を設定し、その中で人間と人間の関係を描く場合、
単なるつくりごとでなく、
読者を最後までひっぱってゆくようなおもしろさをもりこむには、
それなりの配慮が必要であり、
そこに小説を書く上での苦心と同時にたのしさがあるとも言っている」(P274)


この短編集を説明するのに、これ以上、うまいものはない。
わざわざわたしがなにかを論じるのがアホらしくなるくらい簡潔かつ明瞭である。
井上靖の小説はおもしろい。また、大きなものが描かれている。
だから、平成を生きるわたしも絶版書を求めて読んでしまうのである。
読書感想文なら「自分の考え」がないと教員から叱責されそうだが、
ここはそういう場ではないので、このへんで失礼させていただく。

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