2005/09/22(木) 19:16:27

「囚人狂時代」(見沢知廉/新潮文庫)

→ちんぴらのお笑い獄中記。
読んだのは、殺人の前科があるこの自称純文学作家が先ごろ自殺したから。
ご祝儀みたいな感じ。香典ではない。やっぱ、うん、ご祝儀。
思う。これタレント本じゃない。文体とノリが。
このひと、なんでみずからを超大物みたいに書くのだろう。
自己イメージがすごい高いみたい。
IQ自慢をしているけどそれが逆効果だと気づかないのもタレント本の作者と同じ。
ときおり見られるつたない情緒的表現も見苦しい。
いまどきゴーストライターでも書かないような、くっさい表現が多い。
あとさ、他の受刑者の恥ずかしいところは容赦なく書くのに、
なんでじぶんの恥ずかしいところは書かないのだろう。
読者が読みたいのはそこなのに。
じぶんは政治犯だから偉いと思っているのも鼻につく。
ただの人殺しの分際で英雄気取りなんだからこの男。

あとがきでは大笑いした。笑いがとまらなくて困った。
引用する。

「結局、人生において、幸と不幸、苦痛と喜びの分量は、
差し引きゼロになるようになっていると、最近よく思う。
こうやって生きていることが、楽しいのだ」(P270)


人生、悟っちゃったようなことを書いているわりには
ずいぶん素敵な最期でしたね、見沢知廉さん!

50くらいで死ぬのが理想だが、
世間は71歳老人が78歳長老の自殺をとめたことが美談になっている。
いわゆる勲章をもらった。表彰された。いばれる、これで。
自殺をとめたあと、
71歳は78歳になんらかの経済的援助や人的援助、
つまり感謝を目に見えるかたちで示したのだろうか?
「神戸新聞NEXT/神戸新聞社」の記事から引用します。

 商業ビルの非常階段から飛び降りようとした男性(78)を助けたとして兵庫県警須磨署は、佐藤豊広さん(71)=神戸市垂水区=に県の善行賞「のじぎく賞」を贈った。

 同署などによると、佐藤さんは1月8日午前9時半ごろ、同市須磨区にある商業ビルのフィットネスジムに向かう非常階段で、柵の外側に立つ男性を発見。「何しとんや」と声を掛け、男性の上着の首元をつかみ、後から来た女性と共に引き上げたという。男性は同署の事情聴取に「死にたかった」などと話したという。

 現在週5日、ジムに通い体を鍛えている佐藤さん。会社員時代はコンテナ船で機械のメンテナンスを行っていたといい、「男性が立っていた場所は高さ約20メートルのところ。足場もなく驚いたが、とっさの判断で動けた」。同署の新木健一署長は「機転の利いた勇気ある行動に感謝します」と話した。(喜田美咲)

神戸新聞



70歳を超えたらさすがに死んでもいいのではないか?
それをも許さないのか? それが美しい国か?

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