あいつらウォッカ好きで、気がよさそうだから、
最後に行ってみたい海外はソビエト。
いまは観光客しか乗らないシベリア鉄道でロシア人と乾杯したい。
でも、ソビエトっていまでもあれらしいね。ビザよビザ。
事前に詳細な観光計画を出さないと、
観光ビザがおりないソビエト社会主義共和国連邦。
ソビエト女性の若いころのかわいさと劣化のひどさはなんかの遺伝病?
ソビエトにはロマンがあったが、ロシアにはなんにもない。なんにもないんだ。
「ベトナム戦争が終わったその翌年に生まれたことを僕は残念に思った」
こういう書き出しで、小説を書いてみたいと思っていた。
ベトナム戦争は最後のロマンあふれるWAR。
ハノイとサイゴンのどっちが共産党系だったか忘れて、
いま調べたくらい僕はバカチン。北だよ北。
中東でもいまなんかやっているけれど、ベトナムほどロマンはない。
いまベトナムツアーって異常に安いよ。
でも、どこのツアーもあのサイゴンの戦争博物館を入れていないのね。
米兵がベトナム兵の首を切り手に持ち、
ニヤニヤしている不謹慎な写真が飾ってあるあのサイゴンの名所を。
ベトナム戦争ってアメ公は戦場で冷たい生ビールを飲んでいたんでしょう。
それなのに負けてしまう。
米国の負けた理由はベトナムが
「負ける」という言葉を知らなかったからって冗談やめてよ。
嫌いなのは、灰皿を投げる系。
古老前衛(笑)演出家とかよく灰皿を投げていたっていうじゃん。
灰皿というのはひとつの小道具で、妻の若死にで有名なあの歌舞伎役者も、
わたしにとっては灰皿テキーラの人。
次男で有名なみのもんたも灰皿の人。
柴田恭兵で有名なあの劇団。
柳美里(やなぎびり)が灰皿系のつかこうへい好きなのは驚いたが、
西洋演劇に夢中になったとき、
かの女がそっち系をかなり読み込んでいるのにはさらに驚いた。
柳美里(やなぎびり)は「水辺のゆりかご」「言葉のレッスン」。
こんなうまいエッセイを書ける作家を知らない。
そっか、かの女太宰治が好きだよね。
柳美里(やなぎびり)は大好きで、
大学時代「水辺のゆりかご」をある女の子に読んでほしくて貸したくらい。
返してくれなかったから、買い直した。あえて紫の単行本で。
本が美しいと思ったのはあのときがはじめて。
不登校児におすすめなのは柳美里(やなぎびり)。
行かなくたっていいんだよ。行ってもいいけれど。
文豪のおれさまが埼玉県の倉庫に時給850円で勤めていたとき、
ベトナム人の20代半ばの黒縁メガネの院生女子から言われた。
正確には、言われたわけではなく彼女はおなじベトミンと交際していた。
彼氏に小声で言ったのである。
「ダザイが来た」
わたしは彼女も彼氏も好きだった。
男が次は車の専門学校に行くと聞いて、
その日本語レベルではどうにもならないと思ったが言わなかった。
けっこう、このへんに留学資金や税金の闇があるのかもしれない。
日本の闇である。ビザの話はしちゃダメ。
わたしは彼女がきれいで好きだったから彼氏に本当のことを言わなかった。
あの職場は女性が多く、楽しかった。
女子話ではわたしはヒエンが好きということになっていたが、
好き嫌いを問われたらゴックさんほうである。
みんなハノイ出身で、サイゴンはひとりもいなかった。
ただただ懐かしい。その倉庫はいまはない。ベトナムっ子たちに幸あれ。

*ちなみに女はガンさんで、男はダンさん。
5、6年まえの職場同僚の名前を平気で覚えている自分が怖い。
ガンさん、日本語、うまかった。
N2とかいろいろ教えてくれて、ありがとうございます。
昭和生まれの話を、
おそらく平成育ちの若者には信じてもらえないだろう。
平成には信じられないだろう昭和の話がある。
小学校の着替えは5、6年の高学年でも同室。それが昭和。
僕は小学校時代、教師の古家眞に殴られまくったが、
おなじくらいひっぱたかれて、
にもかかわらず古家眞に反抗していたのがSさん。
11、12歳にもなれば、着替えのとき、上や下を隠す子が多いが、
成長が早い胸がふくらんだSさんは無防備だった。
いつもどうしてかSさんの胸を見ていた。
おなじく古家眞に殴られている共感からかと思いたいが、
おそらくそうではないのだろう。

中学のときの同窓会。
Sさんは古家眞が嫌いだったのだろう。小学校には来なかった。
はじめて酒を飲んだ。
おなじように顔を赤くしたSさんから言われた。
「知っているんだから」
「なにを?」
「いつも、あたしの着替えを見ていたでしょう」
ばれていたのか。
こんなに恥ずかしいと思ったことは人生でない。
動揺して慌てている僕にSさんは気遣ったのか言ってくれた。
「わざと」
「どういうこと?」
「わざと土屋くんに見せていた」
本当か嘘かはいまでもわからない。

酔っぱらって公園で遊具、ブランコに乗っているとき、
14歳のSさんから言われた。
「あたし、将来、土屋くんの子どもを育ててあげる」
「どういう意味?」
「わからない?」
本当に意味がわからないほど14歳の僕はうぶだった。
そのときじつはプールの着替えのとき、
Sさんの無毛のワレメを盗み見たことを思い出し興奮して、
そのことで自分が異常に感じられ恥ずかしかった、
いまから思えばSさんは私立に行っていたのだから、
お金持の家だろう。
もったいないことをしたと思ういまの僕は汚れそのもの。
古家眞の暴力が妙な連帯を生み出してくれたのかもしれない。
いま思えばSさんは美少女だった。きれいな子だった。
昭和の話である。
漫画家は、小説家や脚本家ほど悲惨ではないが、食えない。
それを知ったうえで敬意を込めての発言。
文芸誌は金をもらっても読めないわたしが買っているのは漫画誌。
思うのは、漫画はセリフを減らしたほうがいいのではないか?
説明ゼリフが続くと読み飛ばす。
いいのは、作者が本当に描きたいと思っている「絵」。
どうせわからないんだろうと思っているのだろうが、わかる人にはわかる。
びんびん伝わってくる。
作者がこれを描きたいと思っているシーンほど胸を打つものはない。
もっともっと編集者に逆らって漫画家さんには描きたいものを描いてほしい。
それ、わかるから。
最後の最後まで追い詰められて思ったのは「アンティゴネ」。
わたしの「アンティゴネ」を書きたい。
たぶんいまも「オイディプス王」とセットで新潮文庫にあるのではないか。
「オイディプス王」も「アンティゴネ」もソポクレスのギリシア悲劇。
あれは新潮文庫の福田恆存訳がいちばん。
なにこれ? と思うくらい、よろしい。いいでございますですね。
世間法と神の法の、いわゆる、あのそのえとね、
「めんどうくささ」をじつに感情巧みにわかりやすく、悲劇にしている。
あれは福田恆存の創作で、
英語で読んだらぞんがいつまらないのかもしれない。

嫌いな言葉ナンバー1は「正義」だが、
「disる」も非常に嫌いな若者言葉。
おれよりも4、5歳上の女性に「disる」を使われ、
なーに若者ぶってんだと、人生無常なりとしみじみした記憶がある。
好きな言葉、嫌いな言葉、それがその人。
「なるはや」が嫌いにならなかったのは、あの子持ち若妻の魅力か。
名前の話だが、「真理」「真実」は嫌いで「未知」が好き。
三つ子なんてありえないが、寓話だからいいか、
と三人姉妹の名前を「真理(まり)」「真実(まみ)」「未知(みち)」にした。
寓話にリアリティーを求められても困るが、
世間の人はそういうものかもしれない。
「正志」とか創価学会っぽいよねえ。
相手の名前に「正」が入っていると緊張する。おやばい人じゃないかしら。
世間は甘くないが、世間を知らない僕は考えてしまう。
どのポジションが楽か?
このまえ姉にもう20年近く経っているのだから、
お母さんのことはもういいじゃない?
と言われ、それを僕に言えるのは姉だけだなあ、と思った。
いや、そうではないと言いたかったが、
言わせない独特の姉力(あねぢから)。

むかし(戦前?)は長男ひとりがお得だったが、いまは下のほうが、たぶん。
兄兄妹の女の子とか、性格のこなれかたがすばらしい。
兄弟は兄も弟も辛そう。死語の「つらたん」ってやつ。
中国は「一人っ子政策」をしたことから(好きだが)バカな国だと思う。
兄妹か姉弟のパターンがいちばんいいのではないか?
もっともそれは選べない。神力(かみぢから)。
みんなわかっているでしょうが、あえて言うと、
東京オリンピックが終わったら日本も終わりでしょう。先になんにもない。
東京大地震が来たらまだいいが、予想ではテロが横行する。
失うものはないもないというものはいくらでもいるのである、わたしのように。
そこから、やっちゃえばいいに走るのは高速道路である。
やっちゃえばいい。
いまの社会上層部、政治家、マスコミ、タワマン、二世ばっかり。
みなさんご存知でしょうか、あいつもこいつも二世か三世。

やっちゃえばいい。やっちゃって自殺すればフィニッシュ。
京アニ放火の犯罪者の思考。
あれは法的に考えたら精神障害者で100%無罪なのだが、
世間は甘くない。
やつを高額な強力合法麻薬で生き残させているのは、
死刑で殺し世間に満足感を与えるためである。
もうなんにもない。老人ばかり。
古いものは新しくないと罵倒され、
新しいものは伝統をわかっていないと大勢いる老人から怒鳴られる。
もうなにもない。なんにもない。なにもありません。

老人が死ななくなった――。