大宮のAさんから連絡があり、まあ飲まないかと。
かつての派遣同僚である。還暦間近。
いま体調が悪いことを話して、秋にでも晩秋にでもという話になった。
まえにAさんと会ったのは花見のときである。男ふたりさしの花見。
ムショあがりで独身の男はいまも精力絶倫らしい。
スマホでYouTubeの痴漢動画を見ていると酔っぱらって白状した。
長い(短い?)職務経歴でプライベートまでいったのはこの人だけで、
とにかくおもしろい人で小説のネタにできないか何度か考えたくらいである。
Aさんと出会ったのは某菓子会社の倉庫なのだが、
いきなり男はわたしの目のまえで、
それなりに高額のクッキーを積んだものを大量に床にぶちまけてくれた。
新しい職場で、おどおどしていた僕にとって
「失敗してもいいんだ」というメッセージのように思えて気が楽になった、
その後、Aさんと話すとそれほど落ち込んでいないので、
あるいは大物ではないかとさえ思ったものである。

お互い契約期間終了で菓子倉庫を離れた。
なんとなく派遣くずれのように単発をしながら中年ニートをしていたとき、
Aさんがうちの近所のパチンコ工場で働いていることを知り、
調べてみると新たな募集も出ている。応募した。
あの夏の汗だらけのパチンコ台運搬は忘れられない。
契約期間終了後に1階の仲間で赤羽の「鳥貴族」で打ち上げをした。
いわゆる会社の飲み会は初体験で忘れがたい想い出である。
パチンコ工場でAさんとは持ち場が違ったが、
ランチと帰宅時はいつも一緒だった。
決して単純な善人というわけではなく、ときには1時間遅刻する。
おとといの話である。
体調不良を訴え、
「もう女にも興味がなくなっちゃいましたよ」とショートメールに書いた。
59歳のAさんは毎日、朝立ち(朝勃起)がすごいことを誇り、
こう返答してくれた。
「つっちいはまだまだ若いんだから大切な女子とこれから必ず出会えます」

嘘って本当よりもいいよなあ。