ネットをぶらぶら散歩していたら、もうリタイアしている年下がいるのね。
すでにひと財産を築きあげて、
これからは資産運用しながら余生としてのんびり生きようと決意した年少者がいる。
こっちは一刻でも早く出世したい(世に出たい)と焦っているのに……。
どこに違いがあるのだろうと、しばし年少リタイア組のブログを読みふけったものだ。
なんでも缶ジュースを自動販売機で買ってはいけないらしい。
スーパーでならはるかに安く売っているペットボトルをあの価格で買うバカはいるか!
トホホ、おバカさんで~す。
炎天下にお散歩していて喉がからからに乾いたときなんか、
もうほとんど金額を見ないで自販機から冷たい飲み物を買ってしまう。
だから、金が貯まらないのか、くうう。
しかし、待てよ。
リタイアさんのブログを読んでいると、2千円近くするビジネス本を平気で買っている。
それ、お金の無駄じゃないですか? ブックオフなら、きっとそれ105円あるよ!
暑くて町歩きたくないなら、あるよあるよ、ブックオフオンラインあるよ!

「人生学ことはじめ」(河合隼雄) ¥250
「いいかげんのすすめ」(ひろさちや) ¥150
「世間の捨て方 日本がどうなっても楽しく生きるテクニック」(ひろさちや) ¥250
「ひろさちやのあきらめ力」 ¥250
「捨聖・一遍上人」(梅谷繁樹) ¥200
「恋愛のディスクール」(植島啓司) ¥150
「嫁ぐ娘、嫁がぬ娘へ」(山田太一編) ¥150
「懐かしドラマが教えてくれるシナリオの書き方」(浅田・仲村) ¥150


計8冊で1550円――。
驚くべきは、お盆直前に注文したこれらの本のうちもう6冊を読んでいること。
ネット古書通販が嫌いだったのは、立ち読みができないから。
味見ができないのがいやだったのだ。
このたびネット購入のプラス面もマイナス面も同時に味わう。
河合隼雄の「人生学ことはじめ」は氏の名言集(引用集)で、
まさにこういうものが読みたかった。
どうせ大した本ではないだろうと思っていたので現物を見て嬉しかった。
これは古典的な通信販売の楽しみかもしれない。
失敗したと思ったのは、ひろさちやの「いいかげんのすすめ」。
絶版になった過去の本からの丸写し(焼き直し)だった。
いまのひろさちや氏の奇天烈ぶりが好きなのに――。
現物を見ずにネットに記載された出版年度から判断したらすっかり騙されてしまった。

まあ、ひろ先生の本は騙し(インチキ)に満ちているからいいのである。
「人生は金じゃない」と言いながら印税目当てに新書を粗製乱造する氏の矛盾を愛している。
挫折や失敗という人生の傷にいちばん効くのはヒロポンならぬひろさちや!
このたび買ったヒロポンはもうすべて吸引してしまった。
するとあっという間に痛みは引いた。人生はいかにおのれをごまかすか!
あえて騙されるのがうまく生きるテクニックなのだろう。やはり死んではいけませんよ……。
努力は嫌いと公言しているとよくないらしいね。
なんでも世の人は(なかんずく成功者は)みなみな努力家だから、
努力をしていない人間は応援してくれなくなるらしい。
こつこつ努力をしているのを見て、こいつを引き上げてやるか、と思うとのこと。
あるいは、こいつを男にしてやりたいと(あ、いまでも疑惑は消えませんが当方男性ですよ)。
さて、いいですか?
おい、このブログを見ておれが努力をしていないと思っているやつ、一歩前に出ろ!
なーんちゃって! くすくす。驚いた? ごめん。

努力はよくわからん。自己申告するもんじゃーないと思う。
強制もなるべくならしないほうがいいのではないか。
コンクールに落ちるたびにうっとりするのね。ほうら、努力って報われないでしょと。
おれほど名作シナリオ、名作戯曲を勉強しているものはそういないはず。
しかし、賞は取れない。見たか、見たか、見たか!
山田太一さんさえ知らない人が大勢、脚本コンクールで受賞しているのが現状なのだ。
(ちなみに某シナリオ学校の自己紹介で問うたら半数近くが知らなかった……)

なにかを主張するとき、古典的な裏づけがあると信憑性が高まるのね。
まあ、結局はどのオピニオンもインチキで自己正当化に過ぎないのだけれど(苦笑)。
とはいえ、努力の効果は「オイディプス王」や「ハムレット」でとっくに否定されている。
オイディプスは努力したから不幸になったわけでしょう。
あんなにがんばって真実を知ろうなどとしなければ、のほほんと王様でいられた。
ハムレットだって、よけいな努力ばかりしている。
現状打破や真相究明を目指して努力した結果があの悲劇なのだから。
少なくともハムレットがもしあのようにがんばらなければ、
ポローニアス、オフィーリア、レアティーズ、実母、義父の5人が死なずに済んだ。

まあ、オイディプスやハムレット本人はけっこう楽しかったのではないかと思っている。
しかし、あれは大物役者だけが味わえる人生の歓喜だ。
増収や出世を目標とする小人腹が決して真似をしてはいけないことだと忠告しておこう。
あんまり努力をすると時に「オイディプス王」や「ハムレット」のような悲劇を招くと――。