2月9日。持病の頭痛がひさしぶりに発症する。いつ以来だろうか。
ここ1年は頭痛と縁がなかった。このようなときに長年ブログをやっていると助かる。
「頭痛」で検索すると、これまでの歴史が判明する。
検索のできる日記=ブログを継続していてよかったと思うのはこんなときくらい。
2006年3月からおよそ1ヶ月間。2006年12月11日から1ヶ月半。
で、このつぎに来たのが今回というわけである。2008年2月9日頭痛再来。
強力な痛み止めのロキソニンがあるのでさっそく服用。
長いこと頭痛は罰であると苦しむがままにまかせていた時期があった。
ふとしたきっかけから、痛み止めを処方される。すると、これがなかなか効くのである。
いままでのマゾ的な我慢をアホらしく思ったものである。
痛みは薬で消せばいい。そんなことも知らずに嘆いていた時期が5年ほどあった。

翌日も朝からロキソニンをのむ。痛みと薬物のたたかっていることがわかる。
午後、ひさびさに荻窪へ行く。いつものように、ささま書店から。
ここのワゴンがはどうしてこうもサービス過剰なのだろう。
なつかしの「ノーベル賞文学全集」があるではないか。
川端康成ノーベル賞受賞を記念して主婦の友社が歴代受賞作品を全集として刊行した。
おそらく採算度外視でやったのではないか。
この全集でしか読めない作品、翻訳というのがいくつもある。
以前、お世話になったのはバーナード・ショーとユージン・オニールが収録されたもの。
この全集に感謝したものである。この日、ささま書店にあったのは全集のうちの4冊。
メーテルリンクがあるのであわてて収録作品を調べると「青い鳥」でがっかり。
これは自慢だが、わたしは邦訳されたメーテルリンクの劇作はすべて読んでいる。
「ビョルンソン/エチュラガイ/ハウプトマン/ベナベンテ」の巻をチェック。
エチュラガイ、ハウプトマン、ベナベンテの劇作は残念ながら岩波文庫で既読。
しかしビョルンソンは読んだことがない。
ビョルンソンはイプセンに先行するノルウェーの文豪。
かれの戯曲「人の力を超えるもの」が収録されている。
この作品が日本語で読めるのはこの全集のみ。いそいでカゴに入れる。315円。
もうひとつ300円棚に似つかわしくないものが。

「ベストプレイズ 西洋古典戯曲」(白凰社/西洋比較演劇研究会編)

有名古典戯曲の新訳が12収録されている。定価4500円が300円。
ふしぎに思い、なかを調べると一箇所だけあたまの悪そうな線引きがある。
イプセン「人形の家」に汚い線が引かれている。
ふたたび自慢させていただくが収録作品12のうち11は読んだことのある戯曲。
未読なのはビューヒナー「ダントンの死」ひとつ。
口惜しかったのはシラー「群盗」宮下啓三訳が収録されていること。
昨年1500円も払って買う必要はなかったではないか。
こういうときは買い足すに限る。たったの315円(税込み)なのだから。
ついでと教養文庫の「中国神話伝説集」も105円で購入。

ブックオフ荻窪店へ。まずは単行本コーナー。

「創作のとき」(叙情文芸刊行会・編/淡交社)200円

有名作家の18人へのインタビューを集めたもの。
テーマは創作。いかにして書くかである。
寺山修司、沢木光太郎、井上靖、山田太一と顔ぶれは豪華。
定価1900円が200円で買えるのだからしあわせである。
文庫も少々。

「アジア・旅の五十音」(前川健一/講談社文庫)絶版105円
「こんどは俺の番だ」(井上靖/文春文庫)絶版105円


携帯で時間を見るとすでに22時を過ぎている。
本とたわむれていると時間を忘れてしまうのだ。
早く帰宅しなければならない。酒をのむという神聖なる行事が待っている。
会計を済ませ店外へでたとき、いま頭痛がやんでいることに気づく。

(追記)酔いにまかせて書いたためいくつか誤まりがある。原因は記憶違い。
ここに訂正します。メーテルリンクの戯曲で読んでいないものがある。
いづれも大正時代出版ゆえ極めて入手困難。
それからビョルンソンの「人の力を超えるもの」は「人力以上」のタイトルで、
昭和2~5年出版の世界戯曲全集で邦訳されている。(2/12)
もう本は買うまいと思っている。というのも、本を読んでもろくなことがない。
自分が賢くなったような錯覚をして、ひととの距離を広げるのみ。
他人の気持を理解するということができなくなる。
それはあの本に書いてあった感情だ、なんて一般化してわかったふりをする。
読書をしても、ひとに親切になるということがない。
読書などしたところで、おのれをわけのわからぬ高みにおき、周囲を見くだすくらいだ。
だいいち、読んでいたら書けないではないか。
読書などしていたらいつまで経っても自分のものを書けない。
とはいうものの、本があったらついつい読んでしまう。
最近、なるべく本を買わないようにしているのはこのためである。

ところが、これがストレスになるのである。
どうやらわたしにとっては、本を買うことが唯一のストレス発散だったのかもしれない。
本を買うのは、博打に似た楽しみがあるように思う。
偶然性に身をまかす愉楽が書籍購入にはある。古本ならなおさらのことである。
その日、どのような本と出逢うのかはすべて運任せである。
この本を買いたいと思っても古書店の場合、そうはいかない。
したがって、古書店での書籍との邂逅はみなみな運命を感じざるをえない。
運命という言葉が大げさなら、ご縁といってもよい。
人間とのお見合いは心理的負担が高いが、本とのお見合いなら気も楽だ。
かくして気がつくとブックオフに入っている。近所のブックオフでの釣果(ちょうか)。

「神と私 人生の真実を求めて(遠藤周作名言集)」(監修:山崎哲雄/海竜社)
「老イテマスマス耄碌」(対談:吉行淳之介・山口瞳/新潮社)絶版
「過敏性腸症候群はここまで治る」(伊藤克人/主婦と生活社)
「図解でわかる仕事の基本 ビジネスマナー」(下條一郎/JMAM)
「知識ゼロからのビジネスマナー入門」(弘兼憲史/幻冬舎」


ふうう、本を買うとすっきりする。すべて105円だから合計金額は525円。
いまの時代だと、新刊ならこれでは文庫本1冊も買えるかおぼつかない。
ランチなら無理であろう。しかし、ブックオフならという話である。
ワンコイン(500円)でストレスが発散できるのだから、読まなくても後悔はない買物だ。

おっと、こんなこばかり書いていると本にカネをつかわないやつだと思われてしまう。
そんなことはないのである。高い本でも買いまっせ。
昨年、購入した本を書き忘れていたので、この際書いておこう。
講談社の世界文学全集である。
講談社のこのシリーズはよほど売れなかったのか文学全集にしては遭遇率が低い。
買うかどうか迷ったのは「レッシング/シラー/クライスト」の巻。
収録されているドイツ戯曲はすべて岩波文庫で読んだことがある。
なら買う必要はないじゃないか。
それもそうなのだが、シラー「群盗」宮下啓三訳の入っているのが気になる。
「群盗」は岩波文庫の久保栄訳で読んでいたく感動した。
新しい訳で読みたいとは思うものの白水社「シラー名作集」は希少かつ高価。
そのねらっていた宮下啓三訳の「群盗」がこの全集に収録されている。
こんなことを書いていると、どのくらいこの本が高いのかと思われるかもしれない。
金額を書くとたいしたものではない。たかだか1500円である。
しかし、目当ての戯曲ひとつに1500円は高くはないか、とも思うわたしがいる。
これを見つけたのは中野にある古書店である。ビニールカバーがかかっていた。
中身を実際に確認したいので、ビニールを取ってもいいかと店主に聞く。
ハサミで切ってもらう。内容を確認すると、読んだことのないシラー戯曲が収録されていた。
未完の史劇「ディミトリー」である。これでもまだ買う決心がつかない。迷う。
店主の視線が気になる。そうだよな。ふくろを開けてもらって買わないのはせこい。
よし、よし、買おうじゃないか。
いつか有名作家になったらこの程度の投資など安いもんだ。
こういうしだいで定価920円、売価1500円の多少割高な古書を購入したわけである。

(追記)白水社の「シラー名作集」に収録されている「群盗」の訳者は、
宮下啓三ではなく内垣啓一でした。ここに訂正します。(2/12)