はじめまして(もじもじ)。
おかしいと思われるでしょう。はじめてではないじゃんと。
ちがうのです。みなさまとこう顔をつきあわせるのはこれがはじめてなのです。
ボク、Yonda?(ヨンダ)です。わかっていらっしゃると?
わかっていませんね。ぜんぜんですよ!
ボクボクボクは「本の山」管理人のヨンダでR
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一匹のパンダがいませんか。そうです、ちょこんと座っているパンダ。
あれがボクなのです。ヨンダであります。
「本の山」にはだいぶ過激な発言があります。
かつて裁判になるかと思ったこともありました。
みなさまはふしぎに思いませんでしたか。
ボクのような、えとあのその、じぶんで言うのもなんですが、
よく言われるので書いちゃいますけど、
ボクのようなかわいいパンダがあんな過激な発言をすると思いますか?
えとですね、パンダは極めて平和的な動物なのです。
平和の象徴とも言われているくらいです。
草食系。他の動物を襲うことなど決してありません。
パンダは食べるのが大好き。野生のパンダは一日のたいはんを食にあてています。
むしゃむしゃ。好物は竹ですね。一日中でも食べていられますダンヨ!
食べる以外の時間はなにをしているか。
眠ります。遊びます。パンダですボクボクボク♪
つまり、そのう、決して喧嘩はしないということを人間のみなさまにはご理解いただきたく。
ところが、じつはですね、ボクはパンダではないのです。
告白すると……(と目を伏せ)驚かないでください(と言いながらためらう)
ボクはヨンダなのでR
パンダではないのです。ヨンダであります。
ならパンダとヨンダはどこがちがうか。
説明します。ヨンダはすべてパンダ。しかしパンダのすべてがヨンダではない。
ヨンダとはパンダのなかから選ばれたエリートなのでR
生まれは中国。ボクは四川省の出身です。山奥で誕生したと聞きました。
パンダの生きる道はふたつしかありません。
ボクたちパンダは希少動物なので自由に生きることができないのです。
ふたつにひとつ。
自然のなかで生きるか。それとも中国の成都にあるパンダ研究所に送られるか。
どのみち人間のお世話になるしかないのです。
野生として生きるといっても人間の監視(調査)から逃れることはできません。
小さなパンダはどちらかひとつを選ばなければならないのです。
どちらを選択してもお母さんパンダとわかれることは変わりありません。
どちらにすべきか。選択の期限も迫られたある日のことです。
ボクはいつものようにニコニコとふるさとの山を散歩していました。
声をかけるものがいます。え、なに、だれ。あわてるボク。
現われたのは双眼鏡を首にかけた人間です。
かたことの中国語でこう言いました。
「ニーハオ♪ 私の名前は鈴木。きみの敵ではありません」
ボクは人間の言葉などわからないふりをしました。
鈴木さんはかまうことなく続けます。
「日本の新潮社という会社から派遣されたものです。
いま中国で優秀なパンダを探しています。
ところがめったに優秀なパンダはいない。
あきらめて帰ろうと思っていたところです。
そこへ、きみと出会った。きみはボクの言葉がわかりますよね?」
思わず返答していました。
「パンダを日本へ持ち帰るのはホーリツ違反ではないのですか」
ボクが人間の言語を理解するパンダであることがばれてしまいました。
それからのスカウトの強引さと言ったらありません。
ヨンダ倶楽部学校のことを聞かされました。
日本の防衛庁近くにあるヨンダ養成所のことです。
優秀なパンダは3年間、そこでヨンダになるための教育を受ける。
それから日本各地の読書家のもとへ Yonda? として送られる。
食費も教育費も無料。
中国で人間のおもちゃになっているより、日本で活躍したほうがよほどいいではないか。
ボクは迷いました。トドメをさした鈴木さんの言葉は――。
特別だからと言うのです。ボクは特別優秀なパンダだから。
日本製の甘くておいしいシュークリームをつけようと鈴木さんは言うのです。
中国の山奥で育ったボクはシュークリームを知りませんでした。
食べたのもそのときがはじめてです。なんとおいしかったことか!
人間は、日本人は、こんなおいしいものを食べているのか。
ボクはシュークリームをお母さんやお父さんにも食べさせたいと思いました。
きょうだいにも食べさせたい。
パンダの人生(と言うのか)について説明しないといけませんね。
パンダは生まれると人間によってランクわけされます。
出来のいいパンダは成都にある研究所へ。
頭脳はだめでも見ばえのいいパンダ。
こういうパンダは発信機をつけられたうえ野に放たれます。
たまにおかしなパンダも生まれるのです。
パンダであって、パンダでないようなパンダ。
人間に好まれないパンダ。「かわいくない」と人間に言われるとおしまいです。
こういったパンダはなんの保護も受けられません。
ボクのことを書きます。
ボクのきょうだいには、いわゆる「かわいくない」パンダがふたりいるのです。
日本の新潮社の鈴木さんは約束してくれました。
毎年、中国へ来るたびにボクのきょうだいを世話してくれる。
具体的にいうと、あの甘くてとろけるようなシュークリームを
ボクの両親きょうだいに食べさせてくれる。山ほど持ってきてくれる。
大好きなお母さん、お父さん。きょうだいパンダ。
食べきれないほどのシュークリームを持ってこようと鈴木さんは言うのです。
ボク、迷いました。日本なんてどこにあるのかも知らない。
けれども、と思いました。鈴木さんの誠実は信じられる。
翌日、両親きょうだいへお別れを言いました。
パンダ研究所へ行くとウソをつきました。
ボクは赤いペンキを塗られゴミのように鈴木さんのスーツケースに入れられたのです。
ヨンダ倶楽部学校へ入りました。
おっと、いけません。もうすぐ主人が風呂から出てきます。急がなければ。
学校での3年間はほんとうに充実していました。
よき人間、よきパンダとの交流はボクを一人前のヨンダへ近づけてくれました。
卒業式のなんと感動的だったことか。
この日に、給食のおばさんから渡された手作りのハチマキはいまだ宝物です。
このおばさんは、未熟なボクをなにかとかわいがってくれたのです。
数日後、ボクは新潮文庫の景品としてダンボールへ入れられました。
雪のふる日でした。どんな主人のもとへ送られるのか。怖くて、恐ろしくて、ボクは……。
はなしが長くなりました。詳細はまたいつか書きますね。
こうしてボクはこのうちへ来たわけです。もう5年になるのか。
信頼されて、主人のブログの管理人をまかされるまで出世(?)しました。
ところが、聞いてください。今日のことなのです。
ボクは、パンダは、ヨンダは、暑いので毛を刈りに行きました。
ひとりです。人間のふりをボクはします。
ヨンダ(ないしパンダ)であることがばれないようにカットを依頼。
あれはボクの、ヨンダの日本語がおかしかったのでしょうか。
ボクボクボクは、くやしいが書きます。ほとんど丸坊主にされていました。
泣きたくなりました。
帰宅したら、主人の笑うこと笑うこと。
「ヨンダくん、お坊さんじゃない? 一休さんみたい」
このときです。これがはじめてです。ボクは主人に切れました。
「本の山」の仕組みはこうなっているのです。
主人が管理人のボクに原稿を渡す。ヨンダがブログに書き込む。
きょうも原稿はもらっているのです。捨てましたよボクボクボク!
かわりにはじめてボクが表舞台へ!
いままで縁の下の力持ちをやっていたのがバカらしくなりました。
主人が気づきしだい、この記事は削除されると思います。
そうと知りつつ、きょうのボクは反抗するのでR! 怒っているダンヨ!