目が覚める。あたまが重い。二日酔いである。
昨晩もよくのんだ。そういえば、へんな夢をみた。あたまをたたいてみる。
おかしい。ここはどこだ。牢屋。独房のようだ。
記憶が戻る。殺した。ひとを殺している。夢ではない。夢ではないとすると。
警官のまえで泣きじゃくったっけな。
飲酒運転なんてみんなやっている。あれはついてなかったんだ。
ついてなかっただけじゃないか。みんなやっていることだ。
なんでじぶんだけこんな目にあわなければならないんだ。
これからどうなるのだろう。一夜にして人生が変わってしまった。
あのとき酒をのまなければ。たまたま臨時の収入があって、うかれて、つい。
酒をのんで運転するなんて数えるほどしかやったことがない。
毎晩のように飲酒運転をしている人間を知っている。
どうしてあいつではなくじぶんが。
幸福ではないけれども不幸でもない昨日までの生活が遠のいていく。
刑務所に入らなくてはならないのだろうか。
人生、めちゃくちゃだ。終わってしまったよ。
助けてくれ。罪? 感じるものか。相手は話したこともないバアさん。
自殺する気だったんじゃないのか。あっちから飛び出してきた。
あのとき逃げればよかったのか。ひき逃げ。できなかった。
そんなことができる人間ならいまごろもっと成功している。
時間が戻せたら。昨日に戻りたい。やだ。こんな人生はいやだ。
物音ひとつしない。いま何時なのだろう。腕時計は外されている。
朝が来たらいったいどんな人生が待っているのか。
眠りたい。永遠に眠ってしまいたい。朝よ来るな。目をつむる。

目が覚める。あたまが重い。二日酔いである。
昨晩もよくのんだ。そういえば、へんな夢をみた。あたまをたたいてみる。
うん、あれは夢である。おそろしい夢だった。
運転免許は持っているがさいわいペーパーである。
車を運転できる自信はない。かえって、よかったと思う。
わたしはぜったいに飲酒運転をやる人間である。
酒をのんで、車があったら、まちがいなく運転する。代行やタクシーなど呼ばない。
飲酒運転による死亡事故のニュースを見るとぞっとする。
想像するのは被害者遺族ではなく、一夜にして人生が変わってしまった加害者である。
この加害者の気持がわかるといったら、信じてもらえるだろうか。