わからないことがある。
どうして小説家は人生相談の回答を好むのだろう。
作家としてのステータスがあがると、物書き風情がなんでもしゃしゃりでる。
これがおかしい。笑えるという意味での、おかしいである。
いちいち作家名を例示する必要はないと思う。
みなさまも、思い当たるふしがあるでしょう。
わけのわからない啓蒙書的なエッセイを書く小説家が大勢いる。
こう生きなさいと教えをたれる。小説家は人生の達人か。
いっぽうでそれを当たり前のように思わされている我われがいる。
ちょっと待て。
人生論的エッセイを書く小説家というのは、それほどすぐれた人間なのか。
たかだか小説を書くのがうまいだけではありませんか。
巧拙も実のところ定かではない。
身もふたもないことをいうと、売れる小説を書くことができるだけでしょう。
賢者でも、名医でも、苦行僧でもない。小説家は売文マシーンだぞ。
甘い物語で読者の知性をとろかすのが小説家。
ケーキ職人は毎日おいしい洋菓子を作るが、
道行くひとへ「かく生きるべし」と説くことはない。