母校の高校からぶあつい封筒が。
「振込票」と大きく書かれてある。
まだあけていない。なにを求めているのか。カネなら払わん!

昨年だったか。
母校で大々的な名簿を作ろうという動きがあったようである。
都立高校。
自由だの個性だのが売物の、不愉快な学校である。
都立のトップ高。
中学での内申点(通知表)が合否を決める高校である。
すなわち、教師受けのいい学童が集まる。みなみな明るい。

家庭環境のせいもあり、暗かったわたしはこの学校にまったくとけこめなかった。
友人はひとりもできなかった。
休講があると、することがないので、不忍池までサイクリングをしたもの。
部活だけが高校生活であった。
クラスは地獄。部活動だけが、生きがい。
その部活の仲間とも、ずいぶん音信が途絶えている。

なにを書いていたのだったか。
名簿である。卒業生の名簿を作成しようという運動が昨年あった。
大学名、勤務先を記せ、とある。
もうこの高校とはかかわりたくないと思った。
これは冗談ではない。交通事故で死亡。
返信用として付記されていたハガキにわたしはそう書いた。
あれをなぜ送らなかったのか。いまでもわからない。
もし死亡届をだしていたら、いく人かは喜んだであろう。
じぶんは生きている。かげの薄いあいつは死んだようだ。
かのひとはひと晩の幸福を感じる。

あの死亡届のハガキをださなかったから、こうしてまた郵便が来る。
今度こそ、死亡と書いて返送すべきだろうか。いま迷っている。