宮本輝の最新小説「にぎやかな天地」を読んでいる。
おそらく氏の小説では初めてではないか。
携帯電話で交わす会話が登場する。そういえばパソコンも、アダルトサイトも、である。
毎晩、酒をのむ。
酒をちびちび、小説をちょこちょこ。これは至福のとき。
いまは酒とともに井上靖「オリーブ地帯」を読んでいる。
久々の小説二重奏かもしれない。
しらふでは宮本輝。酔っぱらうと井上靖。
「オリーブ地帯」は昭和29年発表の新聞小説。
昭和29年――。
各家庭に電話が普及しているとはいいがたい。
そのせいか出会いが現代とはことなる。
いまはみなさんご多忙。
アポイントメントを取らないで会いにいくのはご法度。
だが、この「オリーブ地帯」ではアポという欧米感覚がない。
会いたいと思ったら会いにいく。
会えなかったら、あきらめる。昭和29年である。
いまの小説、ドラマがつまらないという人間がいる。
わたしもそうである。
これは便利のせいではないか。
便利に反比例して、ドラマが減少する。
便利で自由な時代には、恋愛も劇も存在しえぬ。
ふと思ったことである。
最近の小説を読もうとしない言い訳かもしれない。