04/06/03 09:14
「寺院の殺人」(エリオット/高橋康也訳/白水社「現代世界演劇3」)絶版
→戯曲。イギリス産。いちおうキリスト教つながりということで。
テーマはキリスト教。またあの、国の法か神の法か、というテーマ(おそらく)。
読後、良かったと胸をなでおろす。エリオット全集の戯曲の巻を買わなくて良かった〜。
どこかの古本市で1800円くらいであり、だいぶ迷った記憶がある。
その翻訳が福田恒存だったということもあって。うん、エリオットは退屈であります。
04/06/03 09:14
「図解雑学 聖書」(関田寛雄=監修/ナツメ社)
→ナツメ社の「図解雑学シリーズ」はいいよ!
いぜんギリシア悲劇を読み始めたとき、これはギリシア神話の知識が不可欠だと悟った。
そこでほんといろいろギリシア神話入門書を読み漁ったけど、
その中でいちばんわかりやすかったのが「図解雑学 ギリシア神話」だった。
おそらく執筆者は編集者からサルにわからせるつもりで
書いてくださいと頼まれているはず(笑)。
左ページは本文で、右ページはそれを図解したもの+関連写真・絵という構成。
講義にたとえたら左ページは先生の口述、右ページは板書みたいなものかな。
この「図解雑学 聖書」でも、知る喜び、わかるという快楽を十全に味わった。
このシリーズは売れる(売れている?)と思う。
買うのはかなり恥ずかしいけれども。
「キリスト教ハンドブック」(遠藤周作・編/三省堂)*再読
→5、6年前に遠藤周作に傾倒していたころ、キリスト教の本をたくさん読んだ。
これはそのときの一冊。
あ、聖書本体はもちろん読んでいない(読めませんって)。
キリスト教か……。
十字架を背負ってゴルゴダの丘に向かって歩く男か。
その男は愛を説いていたか。
……体質的に受けつけないところがある。
あ、この本の感想か。わかりにくい、それだけ。書いているのは遠藤周作じゃないし。
04/05/31 08:12
「怒りをこめてふりかえれ」(ジョン・オズボーン/青木範夫訳/筑摩書房「現代劇集」)絶版
→戯曲。1956年、イギリスでこの劇が初演されたとき、すごい衝撃を与えたとのこと。
シェイクスピア登場以来の英国演劇史上の「事件」とまでのちには語られたらしい。
信頼している学者の小田島雄志さんもこの劇を絶賛している。
なんでもこの劇の主役、ジミー・ポーターは現代のハムレットであるという理由で。
だけど、うーん、わたしだけなのかな。
これ決しておもしろくはないと思うんだけど。
普遍的なおもしろさ(古典的といってもよい)はないと思うんだけどな。
労働者階級出身の青年、ジミー・ポーターくんが妻に怒りまくる。
というのも、妻のアリソンさんが中流階級出身だから。
その発言、行動すべてが気に入らないというのである。
我慢できなくなった妻が実家に逃げたら、今度は妻の友人と愛人関係へ。
それでもジミー・ポーターくんの怒りは収まることがない。
最後は戻ってきた妻と仲直りして、動物園ごっこ。
ぼくは熊だぞ、きみはリスだ、食べちゃうぞー♪
どうしていきなりラブラブになるのかさっぱり(苦笑)。
未熟で不快で退屈な戯曲だと思う。
最後に演劇史的知識の確認。
オズボーンはウェスカー、ピンターらとともに「怒れる若者たち」といわれた。
「ルター」(ジョン・オズボーン/小田島雄志訳/白水社「今日の英米演劇3」)絶版
→戯曲。読むまえからつまらないだろうなと予測を。
歴史上の有名人がタイトルになっている(いわゆる)評伝劇でおもしろいものを知らない。
バーナード・ショーの「聖女ジョーン」はその典型。
なんでだろう。
「神が作った劇=人間の運命→評伝劇」と「人間が作った劇」とのはざまで首をかしげる。
ルター。宗教改革かぁ。
世界史を高校時代ほとんど勉強しなかったからよく知らないんだ……。
免罪符の発行? 堕落した教会?
だけど、ほんとキリスト教ってすごい。
二千年ものあいだ、あれだけ多くのひとをとりこにしているのだから。
イエスは天才的な詐欺師と言わざるを得ない。
あ、戯曲はやっぱりおもしろくなかった。
読み飛ばしました、オズボーンつながりで。
04/05/31 07:12
「花咲くチェリー」(ロバート・ボルト/木村光一訳/白水社「今日の英米演劇3」)絶版
→戯曲。イギリス産。
ギリシア悲劇は神に近い英雄の受苦を描いた。
シェイクスピア悲劇では王や王子が大立ち回りをして死んでいった。
現代劇――。家族に見放されたセールスマンの父親がみじめにうつぶす。
アーサー・ミラー「セールスマンの死」とそっくりな戯曲。ダメ親父の物語。
いつかリンゴ農園を開くのが夢のこのダメ親父は会社をリストラされ、
妻からも愛想をつかされる。
じつにうまい作劇術で、観客(読者)をあきさせない。
イギリスのチェーホフと言われているとのこと。
良い戯曲を読んだなぁという、しっかりとした満腹感がある。
「すべての季節の男」(ロバート・ボルト/小田島雄志訳/河出書房「現代世界戯曲集」)絶版
→戯曲。イギリス産。
古くはギリシア悲劇「アンティゴネ」から西洋にはひとつのテーマがある。
従うべきは神の法か、人の(=国の)法かという問題である。
日本には基本的にこのテーマはないんだけれども、
例のオウム事件を考えるとそうでもないのかな。
麻原(=神)がサリンをまけという、
日本国憲法はそれを犯罪だという、その間の葛藤。
この戯曲の舞台は、シェイクスピアが「ヘンリー8世」に書いた時代。
イギリス国王の離婚がローマ法王から認められないので、
ローマ教会と絶縁して別個にイギリス国教会を作るという――。
主人公のトマス・モア(国王の側近)は迷う。
ローマ法王(カトリック=死後の法律)か、イギリス国王(現在の法律)か。
トマス・モアは神の法を選択して国王から処刑される。
こういうのを読むと、西洋文学への溝の深さをいやがおうにも実感させられる。
日本人は西洋文学なんてわかりっこないんじゃないかという絶望である。
命を捨ててまで従う神のいる国の文化(西洋文学)を
神仏ごちゃまぜの日本人がわかるものか。
この作品は「わが命つきるとも」というタイトルで映画にもなったらしい。
04/05/31 06:32
「花粉熱」(ノエル・カワード/鳴海四郎訳/白水社「現代世界戯曲選集5」)絶版
→戯曲。イギリス特有の風俗(風習)喜劇というジャンルに属する作品。
英国人は芝居に哲学など求めていない。ただ一晩の笑いがあればと出かけていく。
そんな姿勢がよくわかる作品。おかしくて、笑えて――。
奇妙な四人家族がいる。女優の母親、小説家の父親、息子に娘。
四人がそれぞれに休日に友人を招待したが、
その友人たちはこのおかしな一家に翻弄される。
なんでもかんでもお芝居をはじめてしまうからである。
翌朝にこの四人の訪問者がこれはたまらんと逃げ出していくまでを描く。
見事な戯曲です。拍手ぱちぱち。
「にわとり」(ショーン・オケーシー/菅原卓訳/白水社「今日の英米演劇1」)絶版
→戯曲。アイルランド産。
よくわからなかった、何が起こっているのか、どこがおもしろいのか。
悪魔がでてきたりするんだけど、いないっしょそんなもん。
イギリス人はアイルランド人を差別していた(いる?)というけど、
こんなのを読まされるとわたしもアイルランド人を(略)。
退屈な戯曲を読んだときのやりきれなさはなんとも言いようがない。
04/05/31 06:04
「深い青い海」(テレンス・ラティガン/小田島雄志訳/白水社「今日の英米演劇1」)絶版
→戯曲。イギリス産。
福田恆存がある本ですすめていた。まれに見る傑作。
こんなにおもしろい戯曲が日本人にほとんど知られていないのはさみしいかぎり。
たくさん戯曲を読んでいても、ここまでの良品にはそうは出会えない。
さて、良い戯曲とはなにか。
なによりおもしろいこと、先が気になってしかたがないような戯曲。
そしてバランス。
朝がきてひとが動き出す、
もっとも活動的な昼、
疲れて眠りにつく夜。
「起承転結」だの「序破急」(by世阿弥)だのといわれている、
あの生命特有のリズムを持つ戯曲である。
ことが起こり、それが展開して、最後には収束(解決)するひとつの事件=芝居=戯曲。
そんな事件をわたしは目撃したいのである。
何も起こらない毎日を淡々と生きるものとして。
始めも終わりもない退屈な日常にいやいやしながら。
本作品はある集合住宅(アパート)で自殺未遂者が発見されることから始まる。
彼女が自殺を試みたのは失恋が原因である。
なんとか彼女を助けようとするアパートの住民たち。はたして彼女はどうなるのか――。
こんな戯曲が読めると思うと生きているのも悪くはない気がする。