04/01/20 14:10
「仄かな言葉」(白石昇/白石昇HP)
→短編小説。九州芸術祭文学賞次席作品。
著者、白石昇は「エロ本」の翻訳でその才能にうすうす気づいていたが、
この小説を読んでそれは確信へと変わった。
冒頭、白石は主人公の少女に「めくら」で「つんぼ」という障害を与える。
絶妙である。ここにきわどい「笑い」を感じないものは小説など読まないほうがいい。
少女がひとりいる。なんの物語も生まれはしない。
そこで身体障害を神のごとくプレゼントして強引に小説をおしすすめる。
そこを安易と受け取ってしまうものには、この小説がわからない。
つまりは現代がわかっていないということである。
テレビ局が大々的に「愛は地球を救う」などと偽善をばらまくこの日本を、
白石は嫌悪している、嘲笑している、うっかり感動してしまう自分をも。
その骨太な現代批評が、この小説の屋台骨となっているのである。
そして主人公の少女が世界を認知していく様のなんとみずみずしいことか。
世界はあらかじめ存在するのではない。欠損によって初めて世界が存在するようになる。
この描写を読んでわたしは白石昇の過去を恐ろしくて聞けなくなった。
どれほどの体験をしたら、世界がこのように見えるのだろうか。
本作は地方文学賞の選考委員ごときにはとうてい見通せない奥深さがある。
無料で読めることだし、ぜひご一読をおすすめする。
あなたも同感してくれることと思う。白石昇は天才であると。
――三日に一人、生まれるかどうかの(苦笑)。
(参考)白石昇HP
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/2444/
04/01/17 10:06
「現代文学の無視できない10人」(つかこうへい/集英社文庫)絶版
→対談集。お相手は荻原健一、阿佐田哲也、小池一夫、島尾敏雄、
長嶋茂雄、高橋忠之、大竹しのぶ、井上ひさし、中上健次のみなさん。
つかこうへいが島尾敏雄の「死の棘」をげらげら笑いながら読んだと言っていたけど、
激しく同意いたします。あれを読んで深刻ぶるのはどこかうそ臭いです。
DV(家庭内暴力)常習者の井上ひさし先生のことばも重い。
いつものように中上健次は威勢のいいことを言っている。
サム・シェパード(アメリカの劇作家)は自分からぱくったのだの(笑)。